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日々の大切さを知る2017年の始まり

2017-01-05

2017年が始まり、当院も本日より今年の鍼療でした。
年末年始も痛みを引きずられ年明けを気持ちよく迎える事が出来なかった患者さんもおられたと思います。その分、年明けから全力で施術にあたりますので本年もよろしくお願いいたします。

 

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その中で1/3(火)鍼灸の大先生の悲報に接し、昨日お通夜が営まれました。
様々な分野に精通され、鍼灸業界の中でも群を抜いた先生にも関わらず気さくで温かくおごりのない一目見て触れられるだけで包み込まれる安心感がある方でした。

 

お通夜の僧侶さまも先生の患者さんで、僧侶として必要な事は全て先生に教えて頂き、私が語る言葉は全て先生の受け売りですとまで仰っていました。それほど一つの太い「道」を伝える事が出来る方です。

 

僧侶さまが仰っていた中で印象的だったお言葉を挙げてみます。

 

「人間がお亡くなりになるという事は細胞60兆個が死滅する事で、脳波や心臓が止まる事が「死」ではありません。心臓が止まってから48時間後に細胞は一つ残らず死滅しその中で最後まで生き残っている身体の部位が「耳」です。それまでの48時間、周囲の方々がどの様な言葉をかけるかで、顔つきがどんどん変化します。だから沢山声を掛けてあげてください。生前の思い出話を沢山してあげてください。そうする事で表情はますます柔らかくなり安らかな眠りにゆっくりつく事ができます。」

 

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私が初めてお話させて頂いた時は、すでに一度脳梗塞を患われた後でしたので車椅子で言葉もハッキリは発生出来ない状態でした。当院を開院する少し前でしたので、優しい笑顔でご報告を聞いて作成したパンフレットをじっと見てくださいました。その笑顔でものすごく温かい気持ちになった事を覚えています。

 

車椅子で片手しか使えない(利き手と逆)にも関わらず治療は寸分の狂いもなくどれも的確で、2年前の年末、久しぶりに以前の患者さんを診る機会を設けられた際には勉強会生として特別に見学させて頂く事ができました。次から次へと患者さんが押し寄せ、皆笑顔で治療を受けながら先生を気遣い・敬い・再会の約束をして帰られる姿は自分のまだ見ぬ将来の理想として今も鮮明に焼き付いております。

 

去年の夏合宿では、皆で協力して先生を持ち上げ温泉に入ってもらいました。
子供のような無邪気な笑顔で久しぶりの温泉の湯に浸かる姿は、同じお風呂に入れた喜びと共に大変嬉しかったです。私が緊張するのもあって言葉を交わす機会は少なかったですが、先生の立ち振る舞い全てがお手本でした。もっと積極的にお話させて頂くべきでした。

 

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突然すぎる悲報で改めて日々の大切さを思い知らされる機会となりました。

 

鍼灸院では他の医療機関に比べ何科という区別もないですし、様々な症状をもった患者さんが来院されます。テレビなどでは日本という国の方針上、取り上げられる事はありませんが鍼灸院にも様々なドラマがあります。命と直接関係のない場所に思われますが、そんな事はありません。

 

便秘から心臓麻痺になるケース、耳鳴りから脳梗塞になるケースなど数えだせばキリがありません。もっと簡単に考えると日常生活に支障のある症状は、生きる気力を奪い気力がなくなると病気と対峙する事ができなくなります。目には見えない気力は大切です。生きる活力を取り戻して頂く事が大切な施術の一環と考えております。
もう一度私自身、小さな命を預かる立場としての知識・判断・施術ができるよう、日々施術に臨む一年にしていきます。

 

直弟子の皆さまの悲しみは私の比ではありませんが、少ないながらも一緒の時間を共有出来た者としてご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。