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鍼灸師・鍼太郎妻の出産日記⑥

2017-12-13

さあいよいよ分娩台への扉は開かれました。体力に不安を抱えつつも後は突き進むのみです。

 

前回までのブログはこちら。

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記①

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記②

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記③

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記④

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記⑤

 

無我の境地と弱まらない胎動

 

伝え忘れていましたが、約24時間陣痛に耐えて頑張り抜いたお隣さんは無事に出産を終え、もう一人の駆け込まれた妊婦さんもすみやかに出産を終えたようです。

 

そのため再び陣痛待ちは私たち夫婦だけ。無事2人で分娩室に入ることが許されました。
妻は音楽どころではありませんが、分娩室にもCDラジカセ(懐かしい)があるのでミュージックは妻の好きな中島美嘉と星野源に三浦大知と秦基博、ONE OK ROCKを加えます。

 

陣痛が起きてから約6時間。
妻の呼吸姿勢・リズムは本当に素晴らしく、小松さんも誉めてくれます。
運動神経の有無など出産には関係ないんです。

 

ドラマでよく見る「頑張って!」と隣でオタオタ手を握り、妻に「汗ばかり拭かないで!邪魔!触らないで!役に立たない。」など言われることだけは、職業柄もあり避けたいところでした。
微力でも自分にできることは何か妻を観察しながら考え、結果6つのやれることが見つかりルーティンとして取り入れます。

 

  1. ①汗をふく
  2. ②うちわで仰ぐ
  3. ③水分補給
  4. ④呼吸・いきみがしやすいよう体位移動をサポート
  5. ⑤呼吸リズムの先導
  6. ⑥鍼灸師にしか分からないツボ押し

 

出産に臨む人数は意外と少なく小松さん1人と夫婦合わせた3人。たまに四宮先生が状況を確認しにフラーっと現れます。
いい流れで分娩室に入れたのでこのまま一気に突き進めるかと思いましたが、いかんせん息子の頭が父親似のでかさ(9センチ強)のため頭が引っ掛かりなかなか降りてこれません。
小松さんも試みてはみるものの無理はできないので、妻の強いいきみがくるのを待ちます。
想像していたよりも静かに時は経過していきます。

 

妻は必死で脱力→自然呼吸→強吸気→息を止める(2~3秒)→いきむ(30秒間×2)を繰り返し、息子が降りてくるのを待ちます。
長い時間力の抜き入れを繰り返しているので、限界はすでに超えています。
約7年の間連れ添ってきましたが、どこにこんな体力と力があったのか。
私にははかり知れません。これが「気力」というやつなのでしょう。

 

子宮孔全開から2時間以内に産まれるのがセオリーで、それを過ぎると酸素供給の低下によるお腹の子の心音低下や細菌感染など様々なリスクが上がるため次の手段を取らなければいけません。

 

しかし息子の心音は2時間を過ぎても一向に弱まらないのです。

 

 

この要因は息子の頑張りももちろんですが、妻の呼吸による酸素が息子にしっかり届いているからです。小松さんも何度も誉めてくれます。
身体を動かしたり、声を上げたりしてしまうと酸素が行き届かなくなり、もっと早い段階で次の手を考える必要があったと思います。

 

1時間半を過ぎた辺りから2パック目の促進剤を追加し、息子と妻の後押しを強めます。
四宮先生も側にいてくださり、静かに状況をみていましたがとうとう動きます。妻のいきみに合わせて四宮先生が、お腹を思いきり押し妻を後押しすることになりました。
四宮先生の細い身体と佇まいからは想像できない迫力で押すので、妻と息子も必死。適格な技術です。
強力な分、1回1回の負担も強いので毎回妻と息子の心音を確認します。

 

少しずつ少しずつ亀よりも遅いスピードですが、確かに前進しており小松さんから頭が見えてきたよと声が掛かります。妻は何度も寝落ちしそうになりますが、気力と周囲の声掛けで耐えています。頭がでかいことと妻のいきむ力が弱まっていくことで、頭は見えているのですが最後「スポンッ」といきません。

 

頭が出やすいよう四宮先生が会陰切開をしてくれました。
これだけ陣痛が強くても、麻酔の痛みはまだ感じるようです。身体の感覚はまだ残っています。

 

分娩室に入って2時間半が経過し、満身創痍の身体は毎回のいきみが最後の一息のつもりです。
妻を筆頭に四宮先生、小松さん、鍼太郎、息子5人のタイミングが再び一致。

 

「吸って~!」「2~3秒止めて」

 

「いきめると思ったら思いきりいきんで!」

 

「できるだけ長く!」

 

小松さんの声が響き渡ります。
5人の気力が合わさった瞬間、頭がズルっと半分出てきています!
鍼太郎の角度からでも目視できます!

 

「もう1回続けて!」

 

「(う)-------(声に出さないいきみ)」

 

「ふんぎゃー、ふんぎゃー」

 

10月7日、PM10時7分、3606gの大きな男の子です。

 

 

 

フライングCry

 

息子が出てくる瞬間を目の当たりにした直後ブワッと混み上げる涙が妻から・・ではなく鍼太郎から溢れ出てしまいました。

 

完全なるフライングCryです。(造語?)

 

妻よ、奪ってごめん。それを見た妻は涙よりも安堵の笑みを浮かべてくれました。

 

こんな安堵感は2人とも味わったことはありません。
そのとき流れてきた曲は、中島美嘉の「雪の華」だったような。

 

総合病院でしたので出産が終わると早めに身内は外に出されると聞いていたのですが、次の陣痛室にも患者さんはいなかったのでそこから2時間、写真タイムや妻への労いの時間をゆっくりと過ごすことができました。

 

両家親族へも今はすぐに写真が送れて報告ができます。
妻の両親がすぐに駆け付けてくれました。

 

全てが愛おしい時間です。
本当にお疲れ様。

 

 

12/16(土)、9時~公開予定の最終話に続く

 

出産立ち会いのススメ

 

出産への立ち会いは誰しもが一度はちゃんと話し合うべきです。
鍼灸師という職業柄立ち会っておいた方が今後のためになると思っていたものの、妻が立ち会いを望んでくれたことが一番の決め手で、絶対に立ち会いたいとは思っていませんでした。
ですが、今回の出産を機に訂正します。
奥さまが望んでいれば仕事を数日休んででもできる限り立ち会いましょう!

 

以前お世話になっていた大阪ミナミの美容院オーナーと先日会う機会があり、子供が産まれた話をしたところ、オーナーは奥さんが破水した日からの1週間の予約・予定を全てキャンセルしたそうです。
事前に可能性の話はされていたと思いますが、子供にはあまり干渉していないといつも聞いていたのでビックリです。
なかなかできることではありませんが、それ程出産に立ち会えることは貴重だと思います。

 

妻を一生尊敬し続けられる気持ちと、人間の尊い奇跡の瞬間を逃す手はありませんよ。