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不眠症の要因と施術方針④

2015-09-21

前回までの内容はこちら

 

不眠症の要因と施術方針①

 

不眠症の要因と施術方針②

 

不眠症の要因と施術方針③

 

今回は分類分けの前に少し注釈をいれさせて下さい。

 

前回までの2つの要因は、身体全体の陰と陽のバランスが崩れる(陰が陽より強い立場に立てない状態)ことが原因で起こる「身体の不眠」でした。
良い眠りの為には陰=水(体液)や潤いを脳まで巡らせなくてはなりません。
陰には「重くて下の方へ向かう」性質があり、この重い陰を脳にうまく運べなくて生じる不眠を身体の不眠と対比して、頭の不眠ということができます。
体温は身体を温める力(陽)によって上の方に巡る事が出来ますから、陰を脳に運ぶには陽が充分に働く必要があります。
これを念頭に分類分けの続きを致します。

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③陽虚(陽の力が足りず陰を脳まで運べない状態)

 

《症状》
・眠気はあるが何となく眠れない状態
・トイレが近くなり下半身が冷える状態(ご高齢の夜間尿に当てはまります)

 

《当院の施術方針》
身体を温煦(温める)し、気を盛り上げる(底上げ)方向に施術致します。

 

《生活指導》

 

身体を冷やさないよう、心掛けて下さい。
・お風呂は出来る限り、浴槽につかる(長風呂はこの要因の方には辛いのでカラスの行水で構いません)
・カイロや電気毛布より、腹巻や温かい格好(自分の体温調節機能をしっかり働かせる事が根本治療に繋がる為)
・就寝時は足が冷えない様、入浴は寝る前を心掛ける
・身体を冷やす食材(以前投稿した陽盛 の適応食材)は控えめに
・昼間の運動

 

《適応食材》
ローズマリー、玉ねぎ、温酒(適量)、羊肉、イワシ、鯛、エビ、玄米、松の実、くるみ、栗、ラズベリー、アンズなど
沢山の適応食材がありますがベースは辛味系の食品による温煦作用を利用します。

 

次回、「不眠症」の分類分けは「脾虚、痰飲」です。

 

《参考文献》
「関西系統中医学講座」
「いかに弁証論治するか」 東洋学術出版社
「臨床中医学各論」 緑書房