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活法から生まれる鍼の世界②四肢と脊柱を繋ぐ衝撃

2017-03-13

四肢と脊柱の相性は「いいね(・∀・)b」

 

前回は整動鍼を学ぶことで私自身は何を得たのか。得たことが患者さんにとってどんなメリットを生み出すのかについて書きました。

 

①整動鍼の衝撃

 

今回は実際に4回のセミナーで何を学んだのか。
特に2日連続セミナーの四肢編と脊柱編の衝撃についてです。

 

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重すぎる体験会での先制パンチ

 

体験会は上半身の背中と首の関係、下半身の腰とお尻の連動する関係について学びました。

 

この切れ味が半端ない。予想を三回り飛び越える貴重な関係で再現性も抜群です。上半身では急性・慢性の寝違えや首こり、下半身ではぎっくり腰や取り切れない慢性腰痛に対応。

 

首が痛い時、肩甲骨を動かしたり背中を押してもらいたくなりませんか?
お尻がツーンと痛い時、無意識に腰を叩いてはいないでしょうか。

 

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この関係を明確にツボの反応として示す事で、あまりにも明確に反応が消え、動きが広がり、痛みが自然と消失していきます。

 

帰りの飛行機では先制パンチの衝撃が脳を刺激し、フワフワしていた事を思い出します。

 

連打を浴びせ続けられた四肢編

 

年末の四肢編では、脊柱から上肢・下肢を治療する内容でした。

 

応用は無限ですが、四十肩や石灰沈着性腱板炎などの肩関節症状から、ゴルフ肘や手根管症候群、腱鞘炎、ばね指などの肘・手関節症状。
下半身では股関節痛や膝関節症状、坐骨神経痛が脊柱で調整できます。

 

整動鍼では同じ肩が痛い状態でもどの様にして痛いのか、どこが痛いのかという身体の動きを重要視します。加えて触診によるミクロサイズのツボの反応が一致する事で、施術のポイントが決まるので、患者さんにとっても非常に明確で共有しやすい施術方法です。

 

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四肢編では、「鍼は脳へ直接アプローチ出来る」という確信が持てたことが一番の収穫でした。今まで培ってきた治療技術にも相反せず100%上乗せできた事も大きかったです。

 

充実したセミナー終え、羽田空港に出向く前に2日間貴重な時間を共有した北海道の先生とお酒を飲みながら、互いの近況について花を咲かせた帰りまさかのハプニング!
出発時刻を10分遅く認識し、さらに電車を1本乗り過ごした結果伊丹空港行きの飛行機に間に合わず・・。

 

真っ赤な顔した大人が飛行機に乗り遅れ焦る様は患者さんには見せられません。何とかANAさんの柔軟な対応で飛行機には乗ることが出来ましたが、1時間遅れの神戸空港行き。妻に仕事終わり緊急で迎えに来てもらった事は、誰にも内緒です。

 

2日間の四肢編セミナーで連打を浴びせられ完膚なきままにKOされた後には清々しさが満ちていました。

 

ガードを固めて挑んだリベンジマッチでカウンターをくらった脊柱編

 

年が明けた2月の脊柱編。四肢編で会得した技術に脊柱編が加わる事で、可能性が無限に広がる事は容易に想像出来ました。
脊柱編は、四肢編とは逆に四肢末端のツボ(手足)から、脊柱を調整する内容です。

 

前回よりさらに応用が利く内容で、頭痛・めまい・寝違い・肩こり・腰痛・全身のバランス調整などを手足から調整できます。

 

脊柱はその役割から極めて頑丈なつくりをしており、効率よく脊柱を調整するにはテコを利用する必要があります。この作用点が四肢のツボに散らばっているのですが、これらのツボがとても繊細でゴマ粒程度の範囲で存在するので取穴が脊柱編よりもさらに難しくなります。

 

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その分、強靭な脊柱を繊細な四肢のツボを使って一瞬で変化させる様は「ゾクっ」と鳥肌が立ちます。悟空が、強敵と相対するとき怖さと同時に抑えきれない好奇心が生まれ「オラ、ワクワクすっぞ!」と言う心境が理解できます。

 

 

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この脊柱編の何が凄いかというと、背骨には頚椎・胸椎・腰椎・仙骨孔と計28個の骨が連なっているのですが、この一つ一つの骨にはそれぞれ違った役割があり、一つ一つの骨を操作するツボが違うという事です。

 

脊骨が歪んでいる・曲がっていると認識されている方のほとんどは、歪みにこんなイメージはないでしょうか。

 

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これは側弯症という状態で、CTやMRIで画像に写る歪みに当たります。これは本当に背骨が曲がった状態ですが、この状態がきっかけで痛みや痺れを認識するのは1~2割程度です。
残り8~9割の痛みや痺れは、もっと微細な画像に写らない程度の歪みでそれらは全て原因不明となり、○○の骨と骨の間が狭くなっているからという理由で局所の痛み止めや服用薬にとどまっています。

 

プチ情報として実はウサイン・ボルトも側弯症です。側弯症=症状ではない事が理解して頂けるはずです。

 

では残り8~9割の原因は何か。
もちろん、内臓の原因もありますが脊柱の問題に限定すると、背骨一つ一つの椎骨回旋が問題と考えます。

 

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このわずかな回旋の左右差がとてつもない大きな痛みや症状を産み出しているのです。これは運動器・神経系疾患に関わらず、頭痛やめまい、突発性難聴や喘息など様々な症状の原因になります。

 

この椎骨回旋を起こす原因が、前回も取り上げた筋肉の張力バランスの偏りです。

 

椎骨回旋の原因を調整するツボを何年も臨床を積み重ねコツコツとデータをカルテに記載し、再現性を何度も確認しカリキュラムとして形態化した栗原誠先生の、探求心と精神力には脱帽です。初めて整動鍼セミナー(以前は古武術鍼法と名付けられていました)をおこなう時に、満を持して初回におこなった内容がこの脊柱編というのもこれで納得できます。

 

四肢のツボを使って脊柱を操作できるこの内容で、ツボを改めて信じる事ができるきっかけになった鍼灸師も数多いはずです。私もその一人です。

 

話は少しそれますが、整体業界では「野口整体」というあまりにも有名な存在の流派があります。その創始者野口晴哉先生は、何十年も前からこの脊柱編同様の事を唱えており、背骨一つ一つの役割を事細かに唱えていました。
「〇番を操作すればこう変わる。この症状が出るのは〇番が悪いからである。この身体の癖は〇番が原因」と断言し、〇番の歪みを調整する為の操作法やセルフケアの体操法、対処法を説明してくれています。

その中で私が印象的だった文章を一部簡潔にまとめて抜粋致します。

 

つわりの処置
受胎するとだんだん腸骨が拡がっていくのですが、この拡がりが自然であればつわりはない。が、腸骨のどこかがつかえると、開くための迷走神経の緊張角がつわりという現象を起こす。

「つわりは母体内の新陳代謝の異常によって起こる自然現象である」という説がありますが、もしつわりが自然現象なら妊娠している限りおさまるわけがない。それでは誰もかれもつわりをやらなくては受胎できないことになります。

 

腸骨の拡がりがつかえている場合には、縮んでいる方の腰椎5番を押さえればキチンとなり、それでつわりはなくなります。つわりを自然の生理現象として肯定して、それをなくそうと思って努力してみても、かえって逆効果をもたらすおそれがある。だから、まず「つわりはいらないものである」という心理指導をする事が大切です。

「整体入門」野口晴哉

 

一般的に自然現象といわれる様々な症状も、本当にそうなのか疑いの目を持ち身体の癖や状態を冷静かつ素直に見極めた結果、一般常識といわれる曖昧な見解が打破されます。

 

個人的には異常現象だと直接患者さんに伝える事は患者さんにとって、全て良いとは思いません。生理現象だから仕方がないと考えた方が辛さが軽減されることもあるからです。
それよりも、術者側がつわりを生理現象だからある程度仕方がないと思いながら施術をする事がナンセンスであり、解決策が必ずある事を信じて施術に臨む姿勢が必要と考えます。

 

野口先生のどの本を読んでも、身体の事についての深すぎる知識と見解・施術法に、こんな事が可能なのかと頭がクラクラしていました。つわりの腸骨が拡がる時のつかえの原因は腰椎5番が原因だと断言できるのは、身体の癖・歪む性質などを明確に把握されているからでしょう。

 

これを鍼灸師の唯一の特権であり、医療の分野でも最も優秀な道具であろう鍼(鍼灸師はどんな発達した医療機器よりも優秀であると思って使っています)を使う事で、同様の操作・効果が出せる事を示してくれているのがこの整動鍼です。

 

分かりやすくかつ明確に操作が出来る術に触れる喜びは、何事にも代えられません。
充実した2日間を再び過ごし、今度は時間に余裕を持って飛行機に乗り帰宅できた日の夜はとても良い眠りにつけました。

 

四肢編と脊柱編はパズルの関係

 

手足の症状を脊柱から操作する、脊柱の問題を手足から操作するそれぞれに強みがあり、個々でも十分に力を発揮できます。
しかし両方の知識・技術に触れる事が出来た今の気持ちは!?

 

「ドキドキ!」

 

という関西の決まり文句もありますが、それよりも無くしてしまっていた1000ピースパズルの残り2ピースが同時に見つかり合わさった感覚です。

 

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1000ピースパズルが完成できれば挑戦への緊張感・怖さはあれど2000、3000、5000、10000ピース何でもドンとこいと思えます。

 

この新たに得た技術・感覚を、患者さんには症状解決という結果で体感してもらいたいです。

 

次回は、最終回。脊柱編セミナー1週間後に参加した、本流の活法セミナーについてです。
整動鍼で得た充足感が一瞬で打ち砕かれ、危機感に変わった深過ぎる碓井流活法セミナーの内容をお伝えします。