なぜ脈を診るの?

脈を診られることは舌に比べて抵抗感がある方は少ないですが、それでも数秒何かを探られる事に違和感を覚える方もおられて当然です。

 

改めて・・なぜ脈を診る必要があるのか?

 

脈は身体の中の流体の状態を反映し、

気・血・水といった生きるために必要な代謝物質が身体を巡る様子を、脈象によって把握する事が出来ます。

流体は物質としての存在があってはじめて流れになるため、

動きとしての陽的因子とそれを支える物質の量的な陰的因子との両方が把握可能です。

 

では、実際に脈をどのように診ているのか。

実は脈を診る方法は様々な手段があり、

鍼灸師によって診方も異なり一概にこの方法でなくてはいけないというものはありません。

病院の現場でも1分間に何回脈を打ったかという、心拍数として脈を診る術は皆さまもご存じですよね?

ですが専門家は、先程もチラッと挙げた「脈象(脈状)」としてもう一歩踏み込んだ観察をするのです。

脈診HP

もう一つ。

脈象は何と教科書の中だけでも、28種類あると書かれております。

28種類の脈象を全て感じ取る能力が必要なのはもちろんですが、

その中でも重要な8種類の脈象をしっかり感じ取る事が出来れば、

後はその脈象を組み合わせて28種類にする事が可能なのです。

 

では、その8種類を挙げてみます。

①脈律(脈の速さ):早い⇔遅い

②脈位(触知の深さ):浮いている⇔沈んでいる

③脈形(脈の形状):太い⇔細い

④脈勢(脈の勢い):強い(有力)⇔弱い(無力)

 

具体的に8種類の脈象を観察する事でどの様な推察ができるのか。

①正気の盛衰を判断:身体が元気か弱っているか(主に脈勢)

②病変の性質を反映:寒・熱(主に脈数)

③病位の深浅を弁別:病気の軽重(主に脈位)

④病変の進退と予後を判断:病変が進行・悪化or回復・治癒

⑤治療効果判定の客観的指標:脈位・脈数・脈状等の変化

 

さらに脈も臓腑(内臓)と密接な関係があり、臓腑の病変が脈象にも反映されます。

 

今回も簡略化してお伝えしましたが、これだけでも術者が脈を診る事の重要性を理解して頂けたのではないでしょうか。
当院では鍼灸を施す毎に、最低、舌・脈・お腹の状態を診て、身体が術者の操作した通りに動いてくれているかを確認しております。

 


《参考文献》

「漢方中医学講座」著 仙頭 正四朗先生
「中位臨床のための舌診と脈診」医歯薬出版株式会社