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しっかり寝て身体を休めても疲れが取れないのはなぜ?
栄養剤は仙豆ではない
1週間全力で働いた週末。
翌日は休みという事もあって夜遅くまで充実した自分・家族・友人・恋人との時間を過ごし、休日はいつもよりゆっくり睡眠を取り家で身体を休ませ週明けからの仕事に臨むも、身体がだる重い、疲れがとれない・・といった経験をお持ちの方が多いように感じます。
身体がだる重い時は・・「アリナミンV!」CMに影響されそうですが、眠気防止薬や清涼飲料の中毒によって2011年からの5年間に少なくとも101人が病院に運ばれ、うち3人は死亡した事が日本中毒学会の実態調査で分かり、「カフェイン過剰摂取注意」が叫ばれている現状もあります。(朝日新聞6/13(火)付)
たまに栄養剤の力を借りる事は何ら問題ありませんが、できることなら時間限定の「シャキッ!」ではなく、平日しっかり働き週末思いきり充実した時間を過ごしても元気だった頃の状態に戻りたいですよね。
そんな年齢のせいにしたくない方に、なぜ身体を休めても疲れが取れないのか?そんな現状を変えていく術について簡潔にご紹介していきます。
からだとこころ(脳)は本当に繋がっているのか
当院は【身体とこころ、こころと身体を通わせる鍼灸院でありたい】という理念の元、開院しました。
という事はからだとこころは繋がっていると考えているはずです。
実際にストレスで胃が痛くなったり、恋わずらいで食欲が減ったり、翌日からの旅行が楽しみで夜眠れなかったりとこころがからだに与える影響を疑う方は少ないでしょう。
逆に耳鳴り症状で人と話すのがおっくうになったり、身体の痛みのせいで些細な事でイライラするようになるなど、からだがこころに及ぼす影響もはかり知れません。
ですが、なぜ身体を休めても疲れが取れないのか?という理由を説明をする上では、こころとからだを一旦分ける必要があります。
私が考える結論は、「こころ(脳)は休まっていても、からだが休まっていないから」です。
休みの日に睡眠を長めにする・家でゆっくり過ごす事で、こころもからだも休まっていると思いがちですが実はそうではない場合が不調体質の方には多いです。
これは日常生活自体が、からだにとって負担となっているからです。
テレビ・パソコン・スマホをソファでだらっとした姿勢で見る事は、一見するとリラックスしたようにも見えますが、目を見開き、呼吸を止めた状態ではからだには過度な負担が掛かっています。
睡眠も全身の緊張が抜けていない状態で眠りにつくと脳は思考停止していますが、からだにとってはじっとした姿勢を長時間続ける事になりますので(寝返りで緩和はされているが)、負担になっている事が多々あります。
からだを休める=安静にジッとするでは必ずしもない事を頭の片隅に留めておいてください。
からだに負担が掛かっている指標となるのが朝起きた時の肩・腰の痛みで、身近な方に指摘される点では、歯ぎしりやいびき・無呼吸症候群などでしょう。
逆に、自宅介護でお父さんの夜中オムツを変えるタイミングが気掛かりで眠りが浅いなど、こころが休まらず眠れない場合もありますが、からだも疲弊している事がほとんどです。
こころとからだは繋がっているので、メンタルを整えればからだも変わるともいわれますが個人的にはメンタルを変える事は、からだを変える何倍も難しいと考えます。
心療内科に通う患者さんが、「からだはどこも悪いところがないんだけど・・」と言われるケースを少ないながらも11年間の臨床経験で見聞きしてきましたが、実際にからだにどこも悪い所がない方にはまだ出会ったことがありません。
よく鍼灸師仲間とこころを変えるよりからだを変えた方が症状の改善も早いのにねという話をします。
以上のことから、しっかり寝て身体を休めても疲れが取れないのはなぜ?と質問を受けた際は、「こころとからだは繋がっているようで、分けて考える必要もあります。今回の場合は寝溜めする事で脳は休まっていますが、からだの緊張は抜けておらず結果、翌日になっても疲れが取れないと考えます。当院で身体の負担がどこに掛かっているかをお互い認識し、原因にアプローチしていきましょう。」
こんな風にお伝えしております。
からだを休めるために本当に必要な事とは
休日はどんな手段・短い時間であれ、からだを気遣う時間をつくることです。休日から始めていくと自然と日々の在り方にも変化がみられ、からだの休息力は上がります。焦る必要はありません。
「運動した方が良いのは分かっているんですが・・」とよく聞きますが、運動をすれば良いという話でもありません。
休日だけ1~2時間歩いたり、ゴルフをしたり、ジムで重りを持ち上げてもからだにとっては負担にしかならないのではないでしょうか。
それよりも、からだとこころにゆとりを持ち、朝無理のない範囲で体操をする、2~30分身支度を軽くしてカフェ目掛けて気楽に歩くもよし。
家族サービスで外出する際はハンドルを柔らかく握り、アクセルもソフトに踏み、座席にもゆったり程よく腰をかけ、気軽な話をしながらでも運転できるようなスピードと信号の目測で運転すると、それだけで身体を和らげる機会にもなります。
これら全ての指標を当院では呼吸に求めてもらいます。
無理のない範囲で楽に動いてもらい呼吸が伸びやかに出来るような1日を過ごせれば、からだは自然と休まるということです。
からだが動かない・呼吸が意図してできない方は、ご相談ください。
年齢に関わらず、休日明け元気に出社される方とそうでない方の違いは、アクティブ・インドアに関わらず呼吸・動きの質にあると私は考えます。
※呼吸の質についてはこちら(からだと風船の関係)
せっかく同じ毎日を過ごすのであれば、快適な日々を過ごしていきたいですね。
鍼太郎の現状について少し
最近のブログでやたら呼吸呼吸と連呼していますが、特に半年前から呼吸について勉強するようになり、6月より本格的に実技講習を受けています。
呼吸は変わりゆく世の中においても不変であり、人間が生きていく上で欠かすことはできません。
2015年には比叡山延暦寺の僧侶さまである大阿闍梨が、「千日回峰行」という荒行をやり抜かれ、その後一切の食物・水を断ち、眠らず、横にならず、これを貫くこと9日間、堂にこもり真言を唱え続ける「四無行」にまで挑まれました。この苦行を達成されたのは過去1300年の歴史で2人目という事でニュースでも話題になったのを覚えています。
このお話は少し次元が違いますが、少しでも手間を避けたいと考える現代。
朝ご飯を食べるのが面倒だからと抜いてみたり、慌ただしくて気づいたら水を何時間も口にしていない経験は誰しもがあるはず。
ですが、呼吸を面倒だから5分止めようと思っても意識がある限りは不可能でしょう。
息を止めて死ぬのには30分前後掛かるようですが、大脳はわずか8分で修復不可能になるという意見もあります。
呼吸を変える事で全てが変わる!
までは言いませんが、ほとんどの不調は変えられます。
なぜなら、人間にとって不可欠な存在だからです。
呼吸というフィルターを通すことで、また一つ見える景色が変わりました。
まだアウトプットできる段階ではないので、今は日々からだに覚え込ませるようインプットしておりますが、感覚も少しずつ変化し、その変化を現状は鍼で表現しております。
患者さんにからだを気遣う時間をつくってくださいと言うからには、私はその何倍もの意識と向き合う時間が必要です。
- ・何となく呼吸が大切だとは分かっているけど、どうしたらいいか分からない。
- ・言われてみれば呼吸がよく止まっていると思うが、呼吸自体当たり前すぎて、意識した事がないし何をどう変えればいいのか分からない。
当たり前すぎるゆえにおざなりになっていた現状を自分自身も含め再考し、病気や症状を複雑に捉える思考から脱却する術を今後ご縁がある患者さんと共有し、共に研鑽していければと考えております。
現在来院されている患者さんは、お気づきの方も多いと思いますがワクワク感が滲み出てしまっている気がします。早く共有できるようじっくり準備していきますね。