症例の紹介

下肢痛(股関節痛・膝痛・足首痛)

症例7:歩けない股関節の痛み

DATA

患者: 斎藤由美子さん 59歳 伊丹市
来院: 2016年5月
鍼灸の経験: あり

症状の特徴と経過

半年前ゴルフのスイングで腰を捻ったときに、両股関節に痛みが出現。
整形外科に行くと[内転筋(太もも内側)の筋膜炎]と診断され、安静にしておくようにと痛み止めを処方される。
一度痛みが緩和するも暫くして股関節の状態が悪化。普段の歩行もままならなくなる。

違う整形外科で再検査すると「あなたの股関節は生まれつき可動域が狭くもう治らない。出来る限り歩かず、節制で体重を落とし負担を減らすしかありません。」と言われ、[骨粗鬆症]の診断を受ける。自分の身体が治らないと言われ大変ショックを受けながら以前肩こりで来院していた当院へ相談。

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治療の内容と経過

両股関節の付け根(L>R)が痛く、靴下を履く・仰向けで股関節を左右に捻る動作で特に痛みが強い。
最初に股関節を痛めてから半年が経過しているので、痛みをかばって歩く代償動作が脳と身体にインプットされ、ペンギン歩きで少しの距離を歩くだけでも股関節がキーンと締め付けられ痛い。

1診目、代償動作の改善には痛い股関節の付け根を直接アプローチするのではなく、全身の連動(繋がり)を回復させることが必要と考えた。
その中で特に太もも裏、肩甲骨、腰、足の甲などに鍼をおこない、自分の身体が動けるようになっていく経過を確認してもらう。

16診目、2ヶ月間の治療をおこない長時間の歩行以外は日常生活をスムーズに過ごせるようになった。常に身体に力が入った状態も緩和されている。

30診目、さらに半年間の治療で日常生活は問題なく過ごせるように。電車での遠出や海外出張先での歩行移動もできるようになる。半年振りに整形外科で大腿骨の骨密度検査をおこなうと骨量が減少した75%から88%の正常値に回復し医師に驚かれる。
現在は長距離歩行、走れるようになるための施術を継続している。

同時に治療した症状 肩こり、腰痛
使用した主なツボ 殷門LR、中腰R、大腰L、T12(1)R、L2(1)L、内転筋・中殿筋の導引

考察

半年間改善しない痛みに加え片側だけ骨粗鬆症の診断を受け、治らないと宣言され痛み止めの乱用により心身は憔悴し切っていた。気持ちの低下と元々の身体の硬さに加え代償動作が加わった事で予想以上に症状の変化に時間が掛かった。
前後の張力関係から前の緊張は後ろの強い緊張が原因であることが多い。痛みだけにフォーカスせず動きを改善する施術を継続したことで治らないと言われ車イスまで考えた症状が改善の方向に向かった。変化が出ない時期もあったなかで根気強く通院してくださったことが成果の一番の要因である。

症例6:左股関節が痛くて歩きづらい

DATA

患者: 女性 70代 宝塚市
来院: 2015年4月
鍼灸の経験: あり

症状の特徴と経過

元々、当院の患者さんであり両側の坐骨神経痛の痛みが強くなると来院され、緩和されると来られなくなる通院ペースだった。
今回は4カ月振りの来院。ご不幸事が重なり心身ともに疲れきっていた所、腰を曲げた際激痛が走り整形外科を受診。レントゲンでの異常はなく痛み止めと湿布を処方される。
薬を飲んで安静にしていても痛みは引かず、家のマッサージチェアを1日何度も繰り返している内にさらに痛みは悪化。その後、当院に来院される。以前から慢性的な痛みが残る左股関節の痛みも強くなっている。

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治療の内容と経過

所見は骨盤が大幅に後傾し腰の曲がりがひどくなっていた。身体の状態は心身ともに疲れているのに眠れない日々が続き衰弱していた。
股関節周りから腰にかけてバンド状に痛みが広がり、脈の状態もその反応と一致していた為、バンド状の強張りを取る作用のツボに鍼を3本。腰を回す・左側に傾ける事が困難であったが、抜鍼後確認して頂くと痛み消失。
胃腸に溜まった水分を抜くツボ、筋肉の血液循環を良くするツボに鍼をおこない仕上げる。
少し詰めて治療しましょうと伝えたが、次回の来院は1ヶ月後。
施術後数日マシで腰の痛みは無くなったので、一度ご卒業頂き経過観察して頂く。

同時に治療した症状 腰痛
使用した主なツボ 陰陵泉R、足三里R、殷門LR、大腸兪LR、L2(1)L、R12(1)R

考察

心身ともに衰弱し切った状態では今すぐ痛みを取り除きたいと考えるのも無理はない。この衰弱は、股関節痛の治療に取り組む気力さえも奪ってしまったように感じる。鍼灸院に来院される関節痛の患者さんはどこに行っても治らず最終手段として訪れる事が多い。
苦しんでいる時間が長い為、2~3回の治療で飛躍的に実感出来る結果が出ないと人工関節という手段に踏み切る患者さんが多い事が今後の課題である。

症例5:屈伸が出来ない右膝痛

DATA

患者: 女性 70代 大阪府豊能郡
来院: 2016年9月
鍼灸の経験: なし

症状の特徴と経過

半年前、保育所での勤務中生徒さんの不意な動作につられ無理な態勢で起き上がった時、右膝に強い痛みが出現。整形外科で診断を仰ぐが骨に異常はなく痛み止めとシップを処方される。

少しずつ緩和してきたが屈伸は半分程度しかしゃがめず、朝方長時間座った姿勢から立ち上がる、階段の昇り降りの時の痛みが取れない。
動かすと緩和してくるので現在はフィットネスクラブに通いながら膝の改善を試みているが、経過が平行線を辿るようになり悩んでいた所、フィットネスクラブのご縁で当院を知り来院いただく。

1年半前は左足の小指を骨折してから左膝に同様の症状が出ていたので、かばって歩いた事により右膝に影響が出てしまったのではとご本人は考えられている。

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治療の内容と経過

お身体の所見は、身体の冷却水の低下により乾いた熱がくすぶりながら慢性的に炎上した状態と捉えた。膝の動きを確認すると、特にしゃがみ込んだ時の痛みが強く屈伸運動は全身に力を入れて息を止めながら動かされていた。
特に痛い場所は右膝の外側・後面と太もも前側の突っ張りが気になる。

膝の中心軸・後軸を整え膝関節を安定させる事が先決と考え、お尻と腰のツボに鍼をおこなう。その後、屈伸してもらうととても動かしやすい感覚を共有する。最後に前後軸を調整する為、太もも裏の外側のツボに鍼をおこなう事で仕上げた。

【2診目(1週間後)】前回から大幅な屈伸可動域の改善を実感。日常生活の中で痛みは感じなくなり、保育所で長時間生徒さんと遊んだ後の立つ・座る動作に痛みが残る。その後、生徒さんと遊んでいる時にフェンスをまたぐ動作を繰り返し膝関節の痛みが再発したり、足関節捻挫が原因でフィットネスクラブに通えない時期があったりと波はありつつも根本の治療方針は変えず最初の1ヶ月は週1回、以降は隔週で計15回治療をさせて頂く。

現在は旅行で1万歩歩いても膝関節に痛みが出る事はなく、フィットネスクラブも週1回通う事が出来ているので区切りをつけご卒業頂く。

同時に治療した症状 顔面の多汗
使用した主なツボ 膝根R、気海兪R、外眼裏R、膝痛3穴R、T10(1.5)R、居髎R、環跳R

考察

関節痛は安静にする事が出来ないので、痛みが回復の経過中に反復しやすい。さらに慢性化した状態では、痛みをかばった事による代償動作が加わり余計に回復に時間が掛かってしまう。今回は左膝関節の痛みも合わせると1年半前もの間、痛みをかばう動きを繰り返していた為、一つ一つの動作に息を止めながら全身に力を入れてガニ股で動いているのが印象的だった。
「そんなに力を入れなくてもいいですよ」と直接脳と身体に呼びかけるためには、軸を整える事が必要であり毎回鍼をおこない呼吸を深くしてもらう事で、少しずつ余分な力が抜けていき良い結果に繋がった。何より一番の要因は5ヶ月間という長いスパンを遠方から、諦めずに熱心に来てくださった患者さん自身の熱意である。

症例4:成長期の左膝関節痛

DATA

患者: 男の子 14歳 伊丹市
来院: 2016年2月
鍼灸の経験 なし

症状の特徴と経過

1ヶ月前、空手の練習中左膝関節を打撲。整形外科を受診し、レントゲンでは骨に異常なし。
1ヶ月が経過するも、膝関節屈伸時の痛みが残り空手の練習が思い切り出来ない。
左足をかばって足をひきずりながら歩いていたら、右足すね外側にも痛みが出現。
恐怖感も生まれてか、以前の様に思い切り蹴る事が出来なくなってしまった。
3月立て続けに重要な大会が2回ありそれまでに膝の状態を治したい。宝塚市中山寺駅前にある宮野道場師範のご紹介で来院。

 

治療の内容と経過

初回、優しい雰囲気の中に脈・舌・お腹の顕著なストレス反応と神経の過敏さが伺えた。1ヶ月間経っても引かない痛みと焦り・もどかしさの表れと考えた。
膝の腫れは引いており、圧痛が前十字・内側側副靱帯にある。痛みを長く体感した事から左足を踏ん張る事が出来なくなっていると考え、太もも前後・局所の治療を中心に体のこもった熱・滞りを清熱するツボを使って鍼灸治療をおこなった。施術後、局所痛は消失。膝を屈伸した際の痛みも緩和されていた。

【2鍼目】1週間後、週末の空手の試合で相手に左膝を集中攻撃され、再度痛みが出現。
腫れてはいないが前日の負傷の為、アイシングと炎症を抑えるツボに鍼をおこなった。

その週の練習、膝の痛みは緩和され久しぶりに思い切り練習に励めたとの事。後日の試合は残念ながら敗退。
膝の圧痛も無くなり屈伸運動も日常生活・体育などの運動・空手の練習では問題無くおこなえているが空手の試合になるとどうしてもかばった姿勢になってしまうようである。

【~9鍼目】膝の痛みは練習後の違和感程度でほぼ無くなっているので3週間後の重要な大会に向け、バランスディスクを使った体幹トレーニングを強化。
1週間に1回ペースの治療と自宅での反復をしてもらった事でバランス力・中心の軸はしっかり調えられていた。
初診から計9回の治療で本番を迎えてもらう。
後日、親御さんにお電話を頂くが結果は初戦敗退。足の痛みは感じさせなかったが試合勘が鈍っており本来のパフォーマンスには程遠かった様である。
練習・日常生活では膝関節に痛みはなく中学3年生になり受験勉強が始まる為、空手再開後、違和感があれば来院予定である。

同時に治療した症状 右足関節打撲
使用した主なツボ 陰陵泉L、委中L、太衝LR、衝陽R、百会

考察

「痛み」を取るだけでは、選手のパフォーマンスを怪我前よりも上げる事が出来ないと痛感した症例である。
元々空手という競技自体怪我はつきもので、これは他の対人スポーツにも共通して言える事。
今であれば直接「痛み」に対して局所を治療することよりも、「身体の連動性」機能のどこに崩れが生じているかを観察し、その回復を優先している。
長引く痛みは直接負傷した部分が原因ではなく、痛みをかばうことで新たに生まれている事がほとんどである。
身体の連動性が回復すると、痛みをかばう動作をしなくても良くなるので痛みは自然と緩解していく。
ツボで「骨格を調整する」事がスポーツ選手のパフォーマンス向上に繋がると考える。今度この空手家の学生さんが来院してくれた時は、心身ともに一回り大きくなっているだろう。こちらも負けずに成長した施術ができる様、準備しておきたい。

症例3:膝を曲げた時、内側が痛む

DATA

患者: 女性 50代 伊丹市
来院: 2015年7月
鍼灸の経験: あり

症状の特徴と経過

接客業の為、膝をついてしゃがむ姿勢を取ることが多い。1ヶ月前から膝を曲げこむ・内側に捻る際に膝関節内側に痛みが出現。自然に緩和していくだろうと思っていたが、徐々に痛みを感じる時間が長くなり階段の上り下りも辛く正座が出来なくなった。
以前から通うスタジオジムのトレーニングでもスクワットや足を前に出すランジが、困難になってきた。たまたま、ジムに来ていたスポーツトレーナーさんに診てもらうと「鵞足炎」と言われ、安静とアイシングのアドバイスを受ける。多忙な日々で痛みが取れないので困っていた所、当院の事をジムから聞き来院。

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治療の内容と経過

痛む動き・場所からもトレーナーさんが言われる通り、鵞足炎であった。
去年から甲状腺ホルモン低下を補う薬を服用しており、筋力・水分代謝低下の影響で体重が3キロ増えていた。
この事からも身体の状態は、慢性化された痛みと過剰な水分で全身が冷え固まった状態。その中でも過剰な水分と気の滞りが関節の動きに悪影響を与えていると考えた。

【1鍼目】膝周りの水分代謝を高めるツボを中心に、全身の循環改善と膝関節には直接手技を試みた。
施術後、膝を曲げ伸ばしした際、痛みが10→8とやや軽減程度。

【2鍼目】近い内に様子を診させて頂きたかったが、1ヶ月空いてしまい痛みは変わらないので再度同様の施術。
この間に整形外科に行かれたようだがレントゲンに異常は無く、仕事中辛い際は処方された痛み止めを飲んでいる。

【~5鍼目】間隔を詰めて様子を診させてくださいとお伝えし、1ヶ月の間に3回、初診同様の方針で治療しながら、局所の電気鍼治療で鵞足部に関わる筋肉を緩めたり、運動療法を取り入れたりと手を加え治療させて頂いたが自覚症状に変化は無く自費治療の為、金銭面も考慮され継続を断念。

同時に治療した症状 なし
使用した主なツボ 陰陵泉R、足三里R、豊隆R、内関R、三陰交R、肝兪R

考察

これも痛みを取る事に必死になり、身体の連動性の改善を考える事が出来なかった。
特にお尻や膝周りの骨、背骨の反応を丁寧にい観察し、アプローチしていれば改善は十分可能であったが当時は考えが及ばなかった。かつ、全体の循環を調える方針も膝関節に関連した経絡を的確に選択出来ていない為、結果に結びつかなかった。

症例2:体重をかけると痛いアキレス腱炎

DATA

患者: 女性 20代 伊丹市
来院: 2016年10月
鍼灸の経験: あり

症状の特徴と経過

3日前、社会人バトミントンの練習中シャトルを打った際、左アキレス腱に強い痛みが出現。それ以降、しゃがみこむ・正座・朝起きて立ち上がる・階段の上り下りで痛みが強くなる。
3日間かばって歩いていたので足首内側の踵と土踏まずの境目にも鋭い痛みが出ている。1週間後の新婚旅行までに治したいとのご要望で来院。

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治療の内容と経過

踏ん張るとアキレス腱・足首周辺の痛みが強くなる事から、ふくらはぎ・足裏の硬さが原因と考えた。
ふくらはぎの柔軟性を高め、足裏のクッション強化を目的にふくらはぎ、膝裏のツボに鍼をおこなう。
施術後、踏み込み動作や正座の痛みが消失した為、ふくらはぎから足首にかけての連動性を高める活法手技を加えて終える。

【2診目】翌日、昼頃までは大分良くなっていたが、職場から帰り際の階段を降りた際再度痛み出現。
足首外側の安定を目的に足の甲に1本、内側に対しては膝裏を緩める腰のツボを用いる。

【3診目】3日後内側に突っ張った後遺症の様な重さのみが残る為、土踏まずのクッション強化を目的に足の甲に1本、ふくらはぎ~アキレス腱を緩める手足のツボを用いるとつま先を地面に叩きつけて靴を履く時の響きがなくなる。
帰国後の来院時、経過を尋ねると出発する時からほぼ違和感も無い状態で帰国後も痛みは消失したままであった。

同時に治療した症状 背部痛
使用した主なツボ 崑崙L→太谿L(透鍼)三陰交L、合陽L、臨泣L、太衝L、気海兪L

考察

炎症後は痛みをかばう為の代償動作が加わるため一度消火活動をしても、再度炎症が起こる事が多い。
その為、痛い場所を治療しても代償動作を改善しなければいつまでたっても炎症はおさまらない。よって今回は足裏とふくらはぎの柔軟性を高めて歩きやすい様に調整した結果、すみやかに炎症が改善された症例である。

症例1:段差につまずいた足首の捻挫

DATA

患者: 男性 20代 伊丹市
来院: 2016年10月
鍼灸の経験: なし

症状の特徴と経過

仕事柄、出張や付き合いの飲み会が多く常に肩のこりを感じている。特に仕事終わりと、朝の寝起きに強い重だるい痛みが増強。疲れが出た時は街中のマッサージ店に出向いていたが1か月前から状態が悪化し、その場しのぎの状態をどうにかしたいと考えた時に根本治療には鍼灸が良いと友人から聞きHPを調べて来院。
当初は肩こり治療がメインで来院される予定だったが前日、段差につまずいて転倒した際に右足首を捻り痛みが出現。歩行時、外くるぶしに痛みがあり歩くのが辛い。翌日名古屋で友人の結婚式があるので今日はこちらを主に治療して欲しいとのご要望。

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治療の内容と経過

捻挫して痛む場所は、外くるぶしの靱帯が付着するちょうど骨際、いわゆる内反捻挫による痛みである。前日の事だったので炎症状態を確認するも、熱感も少なく浮腫もなし。捻挫の強度はⅠ度と考えた。

歩行時の痛みが一番辛い事から、痛む場所と関連して足が地面に接地しやすいようクッション作用をつけるツボを足の甲に求め、1本鍼をおこなう。5分そのまま置いて抜鍼後、歩いて頂くと痛みが消失。明日の革靴移動による長距離歩行に向けての予防として、足裏内側の土踏まずの固さを取るため、ふくらはぎのツボに鍼を追加。

肩に関しては両側共に首を傾けた際引っ張られる痛みがあり、特に左側に傾けると右首の痛みが強く動きにくい。
長時間の車移動や重い荷物の持ち運びで、腕の負担が肩に影響を与えていると考え両腕と両足のツボ計4ヶ所に施術。抜鍼後、肩の動きを確認すると、右に傾けた際の左首痛は消失。左に傾けた際の右首痛は10→3と痛みは残るが可動域が大幅改善。左側の方が明らかに可動域が広がっている。

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左側屈(傾けにくかった側)

 

右側屈(傾けやすかった側)

右側屈(傾けやすい側)

1週間後の再診時、足首の痛みは施術後から順調に回復し友人の結婚式もほぼ痛みを感じる事なく過ごせた。首の張りも日を追うごとに良くなり3日後には完全に消失。以降、月2回定期的なメンテナンスに来院頂いている。

同時に治療した症状 肩こり
使用した主なツボ 足臨泣R、三陰交R、外関LR、跗陽LR、突き引き・綱引き(活法)

考察

程度にもよるが足関節捻挫後の痛みの原因は、受傷した場所そのものではなくその場所をかばうための無理な代償動作にある事が多い。捻挫した場所の画像診断としての回復速度は治療の有無に関わらず2~4週間かかるが予後は治療の有無で大きく変わる。いくら腫れが強いとしても腫れる事自体は損傷の回復過程による正常な治癒反応の為、代償動作がおこらない様に身体の連動を調整する事で、傍から見ると痛そうだが実際は痛くない。日常生活を難なくおこないながら自然と治っていく事が可能である。
肩に関しては右首の痛みが多少残っていても、可動域が大幅に改善された時点で日を追う毎に緩和されていく事が予測出来る。だが術者だけが納得しても患者さんには分からないので、当院では予め状態がこのように変化したら効果が期待できる事を説明し、患者さんが差し支えなければ画像や動画で客観的な情報を共有する事を大切にしている。