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頭痛の要因と施術方針②

2016-03-07

前回までの内容はこちら

 

頭痛の要因と施術方針①

 

前回は春の季節の性質・養生法・「頭痛」の分類分け・性質について書きましたが、今回からは「頭痛」が起こりうる要因の分類分けを致します。

 

前回お伝えした「阻滞(塞がれる)する事によって痛みが生じる」という考え方に立てば、痛みを生じる病態即ち滞りを起こす病態には、まず気・血・水の全体量の過剰と不足に大別できます。

 

①流体量の異常【過剰】

気・血・水の全体量が増えると交通混雑時の自然渋滞のような機序で滞りを生じる。
頭部では気血は「清竅」(せいきょう)という狭い穴の部分を通過するので、
流体量の過剰によって、他の身体の部位よりも容易に渋滞を起こし、
痛みを生じやすいといえます。

 

 

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❶気の過剰
身体の調整を超えて「気」の勢いが過剰になると、上方に押し寄せ、頭部で渋滞を起こし頭痛になる。
「気」は「熱」の性質を帯びているので、身体の調整から外れると簡単に上部に上昇しやすい。
痛みの性質は、内側から激しく押し上げられるようなガンガンした痛みで熱象を伴う頭痛です。
これこそがまさに冬の寒さで疲れ切った身体(身体の調整力も低下した状態)で、春を迎えたときに季節の勢いについていけない頭痛の典型例です。

 

❷血の過剰
「血」は重いので、全体量が過剰になっても通常は頭部での過剰には直ぐには結び付きにくい。
しかし、「血」に「熱」が過剰に付加される「血熱」の状態では、「熱」の勢いが「血」を上方に誘導するので頭痛を生じやすくなります。
「血」の重い性質を反映して、痛みは芯の部分により強く感じられます。

 

❸水の過剰
「水」も「血」同様に、全体量の過剰は下方に行きがちのため、「湿蘊」(身体の中の水が過剰に溜まり巡っていない状態)が頭痛に繋がるには、上方に停留しやすい状態を考えます。
これには、次の項目で挙げる動きの問題が加わる場合のほか、「湿」に「熱」が結び付いて「湿熱」を形成すると、過剰が上方に反映されやすくなります。
「湿」の重だるい性質や腫脹感を伴った頭痛で、「気」・「血」よりも熱の勢いは弱い。

 

《当院の施術方針》
全てにおいて、過剰な流体量を下方向に降ろして巡らせる方向に施術致します。
その中でも特に

気の過剰には、行(降)気。
血の過剰には、涼血。
水の過剰には、清熱利湿させる事に重きを置きます。

 

《生活指導》
過度な運動・飲食・ストレス等は全て流体量の過剰を招きます。
心地良い運動に、腹八分目の食生活・心穏やかにする事が一番の予防・対処方法。
腹が立った時は、写真の呼吸法で気持ちを落ち着かせてみましょう。

 

 

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次回、「頭痛」の分類分けは「流体量の異常【不足】」です。

 

《参考文献》
「漢方中医学講座」著 仙頭正四朗先生
「いかに弁証論治するか」東洋学術出版社
「証の診方・治し方」東洋学術出版社