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頭痛の要因と施術方針④

2016-03-20

前回までの内容はこちら

 

頭痛の要因と施術方針①

 

頭痛の要因と施術方針②

 

頭痛の要因と施術方針③

 

今回は、流体量全体は正常でも、巡りそのものの問題が原因で滞りをきたす病態です。

 

③動きの異常【誘導役】

 

❶寒凝
気の流れを寒邪が塞ぐ病態です。
寒によって気の流れが滞るので、気の誘導役である熱に異常をきたした病態と考えることも出来ます。

 

❷宣散失調
気の動きを乱す特殊な病態です。
「宣散」は気が体表を守るために内側から外側へ向かう機能的流れ(身体の生理的な防御反応)を意味しますが、この流れが外邪によって塞がれると外に発散すべき気が内にこもることになり、気の過剰による停滞を生じます。

発熱による頭痛などがこれに相当し、発散を助けて解決します。
この代表方剤が皆さんがよく目にする「葛根湯」です。

 

❸「気」の様々な不調
血や水の誘導役は「気」と考えます。
したがって気滞(気の滞り)や気虚(気の不足)等の病態があると、血や水の阻滞を生じる。
原因解決(本治)として、気虚や気滞を解消しながら、結果として生じている現象の治療(標治)も行う必要があります。
漢方の方剤にせよ、鍼灸治療の配穴にしろ気・血・水それぞれに強みを持つツボがあり、使い分ける必要があります。

 

補足として、水の動きには、気というよりも陽(熱源)の不足を意識する必要もあり、温めて水の動きを盛んにする方法を採ることも多い。
花粉症の鼻水を止める有名な「小青竜湯」がこの病態に適する一つの漢方薬です。
この花粉が飛び交う春の季節に胃腸を冷やせば、花粉症を悪化する要因になる事も容易に理解できますね。

 

《当院の施術方針》
「寒凝」には温めて気を降ろす。
「宣散失調」には発散を助ける。
「気の様々な不調」には標本同治を念頭に、補気・行気・利湿・活血など、気・血・水に対して目的に合った施術を致します。

 

《生活指導》
これから暖かくなるにつれて、身体を冷やす事が多くなります。
お身体の状態と相談して薄着や胃腸を冷やす食生活は出来る限り控えることが、環境の変化に対応する際に必要です。

 

 

 

次回の分類分けは「動きの異常【物理的障害】」です。

 

《参考文献》
「漢方中医学講座」著 仙頭正四朗先生
「いかに弁証論治するか」東洋学術出版社
「証の診方・治し方」東洋学術出版社