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不眠症の要因と施術方針①

2015-09-10

小児の夜泣き(疳の虫)は身体の勢い(熱量)が強く、下に降りるべき気や血液が上に挙がったまま降りない(沈まない)ために夜眠れない状態が続いてしまいますが、大人の「不眠症」も同じように熱の勢いが主な原因なのでしょうか?

 

答えはNOです。

 

もちろん熱の勢いが原因で起こる不眠症もありますが、大人は何かと複雑です。

 

当院では各症状に加え不定愁訴を抱え来院される患者さまも多く、その中でも最近多く感じられる「不眠症」に関して今回は5回に渡り「不眠症」の代表的な要因の分類分けと、当院が考える施術方針・陰陽バランスの崩れの調整に取るべき食材などを簡単に挙げていきます。

 

まずは東洋医学の考え(陰陽のバランス)で捉える「不眠症」の説明をさせて下さい。

 

人間は活動が過剰になると疲れて眠くなります。
これは身体の消耗を元に戻すための欲求で、充分な休息が取れて元気な状態に戻ると、今度はじっとしていられなくなります。

 

東洋医学ではこの構図を「陰」と「陽」の関係として捉えています。
「陰」と「陽」は身体や自然界の全てを2つの要素に分けて捉えた概念で、性質の異なる2つが互いに行き来し、一方が主役の時は他方が控えに回るという考え方。お互いが均衡を保とうとしているのです。

 

「陽」は活動や興奮、熱や勢いの性質を持ち、「陰」はこれらを鎮める物質的なもの、体内では血液や潤いを表し休息や睡眠に繋がります。

 

「陰」と「陽」は互いに制御し合っていて、「陽」の勢いを抑えるためには「陰」が台頭して休息を要求しなくてはなりません。
これが眠くなる理由です。
東洋医学では「不眠症」をこのバランスの崩れとして捉えます。

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前置きが長くなりましたが次回、分類分けの1つ目は「陽盛」です。

 

《参考文献》
「関西系統中医学講座」
「いかに弁証論治するか」 東洋学術出版社
「臨床中医学各論」 緑書房