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鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記②

2017-11-29

前回は「なぜ北とか方角が分かるの?」と思われた方も多いであろう北インドカレー事件翌日、妊娠妻に異変が起きたという流れでした。

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記①

 

鍼太郎、一つ目の凡ミス

 

症状はのどの痛みと咳が止まらない状態。
ちょうど3日前に初の胎動が聞こえ、改めて「何も身体に不調がないことは幸せなことだね」と話したところでした。

 

原因は言わずもがな前日カレーを食べて汗をかいた後、肌寒い気候のなかバイクに乗り風を思いきり浴びてしまったから。
鍼太郎、鍼灸師のくせにそんなことも分からないのかと言われるであろうこの行動が一つ目の凡ミスです。

 

北インドカレーの説明や妊娠時特有の咳が長引く理由、身体のなかで起こった詳しい風邪の発生機序は後半の見解に任せます。

 

このときふと頭によぎったのが、数年前の苦い記憶です。
妻はあまり風邪をひく方ではないのですがひいてしまうとこじらせる、うまく風邪を経過させることができないタイプでした。気管支喘息も少々。
数年前同じ症状でこじらせた結果、身体は元気なのに結局100日以上咳が続くという非常に辛い経験がありました。

 

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前回だらだらと長引いてしまったのは、治るタイミングを逃してしまったから。
今回はお腹のなかにいる子供のためにも同じ轍は踏めません。
数年前より確実に私の技術も上がっているはずですので、やれることは増えています。2日続けての施術でのどの痛みはなくなりました。が、やはり咳がおさまらない。

 

やっぱ、人間助け合いですわ(by向上委員会)

 

咳止めで変化するような気管支炎ではないと分かっていたので、以前患者さんからお聞きしていた保険で漢方の煎じ薬を出してくださる漢方クリニックへ助けを求めました。
元々粉薬が苦手な妻は、苦くてまずい煎じ薬を飲む勇気がなくひとまずは1週間、エキス剤を混ぜ合わせた処方を頂きました。

 

翌日は私が中医学を学ぶ先生の元へ。
妻は私以外の施術を受けたことがないので、不安もあったと思いますが素直に出向いてくれました。

 

2日間を通して長年中医学に携わる先生方の普段の問診・施術を間近でみさせてもらえたことは、不謹慎ではありますが非常に良い勉強になりました。

 

なかなか自分が診ている患者さんを目上の先生にお願いする機会ってないんです。

 

自分がなかなか改善に導けない患者さんをいつも教えてもらう先生が治療したらどう変化するのだろう。間近で見てみたい。これは鍼灸師なら誰もが一度は考える発想です。

 

この発想が実現した内容を、巧みな文面で書かれた仲間の先生のブログはこちら

 

≪決戦!!はり治療対決【 栗原 vs 谷地 】≫

 

治療を受けた翌日はこんな時にと突っ込まれることを承知の上で、二人で東京に行く予定でした。
私は東京での勉強会、妻は便乗して東京に引っ越した友人に会いに行くため。

 

発症から5日しか経っていませんが、幸いにも毎日の鍼灸治療と漢方のお陰で日中の咳は最小限まで治まっていたので予定通り出発です。

 

前乗りした夜に共通の友人の結婚祝いを咳込むことなく楽しめましたが、やはり夜中の咳込みは治まらず。深夜3時に咳込みで起きたときは、前日に施術してもらった通りの方針で鍼をおこない、すみやかに再度寝てくれたのでホッ。

 

東京から帰宅した夜も不安でしたが、セミナー仲間のアドバイスも頂き現在用いている整動鍼のアプローチを加えたことで夜中一度も起きずに寝てくれました。

 

このまま引いてくれることを期待しましたが、翌日5日振りの仕事復帰で帰宅後から咳が悪化。「東京に行くからだよ」と言われそうですが、楽しい2日間が過ごせたようなので良しとします。

 

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漢方クリニックに再度伺い、背に腹は代えられずようやく煎じ薬を飲む決心をしてくれました。こちらの先生の良い所は決して無理強いしないところ。
応対は人によって少し厳しく見えるかもしれませんが、患者さんの意志を尊重し必要最小限の服薬量で最大限の効果を引き出す処方をしてくださいます。

 

このご縁がきっかけで今では当院の患者さんのなかで鍼灸だけでは期間・回数が掛かってしまうリウマチやアトピー症状などの患者さんをご紹介し、協力し合いながらの治療ができる大変ありがたい存在となっています。

 

≪にしもりなおのてクリニック≫

 

この10日間何が一番不安かというとやはりお腹の子。咳込みが過ぎることで、妻は赤ちゃんに酸素がいってないんじゃないかと不安でしょうがない様子です。
睡眠時は地震や台風に全く反応しない私でも、この時期だけは夜に少し咳込みが聞こえただけで反応するようになり、夜な夜な寝ているのか起きているのか分からない状態で治療していました。
現在子供は3~4時間起きにオムツ交換とお乳欲しさに泣きだしますが、初日に一度気付いた以降、私が起きることはありません。お母さん、いつもありがとう。

 

不安のなか伺った健診の結果は異状なし。赤ちゃんの胎動も元気いっぱいでした。

 

健診も無事終え、煎じ薬も飲んで鍼灸も続けた結果、11日目からは入眠時1時間ほど咳込みますが、ぐっすり眠れる日々が続き24週目に入った16日目に無事に治ってくれました。
すみやかではありませんが大事に至らず経過した一番の要因は、周囲の信頼できる方々に素早く助けを求められたことだと思います。
前回は病院で出された薬と自分の治療で何とかなるだろうという安直な考えで、周りに意見を問えなかった結果悪化させてしまいました。

 

1人で出来ることには限界があると改めて感じました。

 

15日分の煎じ薬を出してくださっていたので、飲み切って欲しかったのですがそうはいきません。

 

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妊娠中の経過を応援してくれる安産の妙薬漢方もあったので、個人的には服用して欲しかったのですが・・西森先生の無理強いしない教えもあり鍼灸でやっていくことにしました。ここから再び順調な妊娠ライフが始まります。

 

そこに忍び寄る2つ目の鍼太郎の凡ミス・・次回12/2(土)9時~(公開予定)に続きます。

 

妊娠時特有の咳が長引く理由

 

妊娠中は赤ちゃんが下に落ちないように、力のベクトルは自然と上方向になります。
つわり症状を起こしやすいのはこのためです。
東洋医学用語では「胃の気逆」が起こりやすい状態といいます。
身体の反応でいうと横隔膜周囲の背中の筋肉が固くなると、胃の気逆を助長させてしまうので背中を緩めることがつわり症状の治療ベースとなります。

 

今回はカレーを食べたあと風に当たり身体に冷えが入ったことて風邪を引きました。

 

さらに小麦粉がたっぷり入ったカレーやナンが胃に加わったことで胃の熱が助長され、元々あった身体の熱と合わさり、風邪の程度が一気に悪化しました。

 

 

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妊娠中の体質に加えて、上方向のベクトルが熱によって強くなっているので、下に気が降りれなくなり咳が治まらない。足は冷えてむくむ状態が固定化されたと考えます。

 

なぜ北インドカレーが良くなかったかというと小麦粉がナンやカレーにたっぷり入っているからです。小麦粉は胃の熱を助長させるので、今回のようにふとしたきっかけで炎上しやすくなります。パンも含めて食べるなとは言いませんが、体調に少しでも違和感を感じているときは控えたほうが賢明です。
カレーがどうしても食べたい!というときは、南インドのさらさらとしたライスカレーか香辛料が入っていないレトルトカレーがお勧めです。

 

今回のまとめとしては、北インドカレーに気を付けてください。

 

・・ではなく妊娠生活は長いので一つや二つの予期せぬ事態は必ずあります。
そのときはご自身だけで抱え込まず私たちのような専門家や医療機関、周囲の方々にすぐご相談ください。

ネットで調べて解決できること・できないことがある事実を、ブログというネットツールを使いながらではありますが伝えさせてください。