症例の紹介

婦人科症状

症例2:生理中の頭痛・下腹部痛

DATA

患者: 女性 40代 宝塚市
来院: 2015年10月
鍼灸の経験: なし

症状の特徴と経過

16年前に卵巣のう腫、9年前に子宮筋腫の摘出をしてから生理痛がひどくなり、特に生理中は仕事が手に付かないほどの激痛である。痛み止めのロキソニン・ボルタレンも12時間前後しか効果が無く、自然と生理前後合わせたの4-5日間は痛み止めの服用数も多くなる。
特に頭痛・吐き気・下腹部痛の症状がひどい。
どうしようもない時はマッサージや整体に行きその場だけでも痛みを緩和してもらうが持続はしない。毎月の事なので、仕事の忙しさもあり何とか生理中を耐えしのげばいいという諦めの状態だったが友人の紹介を受け一度試してみようと来院。

治療の内容と経過

四診で手術による外因・左膝の大けがによる水腫・慢性便秘などにより血液の滞りが強く、さらに過食により過剰な水分も停滞して胃腸・子宮の循環が極端に停滞している事が原因と考えた。お腹も臍下が冷え固まっている。
上半身の滞りこもった血熱を下におろすツボ、過剰な水分を排出・循環させるツボを用いて、動いていない循環の改善を試みた。施術後、頭がスッキリし下腹部痛も緩和。

【2~5鍼目】それから10日後と1ヶ月後に単発で来院されるが、生理中身体が辛いのは変化なし。
体質改善には最低1ヶ月週1回通院して頂きたい旨を伝え、生理後から1ヶ月間、週1回ペースで身体の変化を診させて頂く。基礎体温は36.5度と常に高い。
生理後で血液は入れ替わっているので、過剰な水分の循環改善を中心に次の周期に向けた血液循環の改善にも取り組み、同時に便秘の治療として足・お腹のツボを用いる。

【6鍼目】もうすぐ生理が来る予兆はあるが調子が良く、お通じも久しぶりに快便が続く。

【7鍼目】1週間後、前日夜から生理が始まるが今朝は頭痛・腰痛・下腹部痛が少しあるぐらいで、仕事も支障なくおこなえた。とご報告。
当院としては先を考えるともう1ヶ月体質改善に努めてからのご卒業・メンテナンスに移行して頂きたかったが、数年ぶりの生理痛の緩和を体感され、生活環境の多忙さから一先ず来月は自分でこの良い状態を調整して様子を見たいという要望の為、ご卒業頂く。

同時に治療した症状 肩こり、腰痛、便秘
使用した主なツボ 太衝R、外関R、臨泣L、陰陵泉L、三陰交L、肝兪LR、腎兪L、大横LR

考察

身体を酷使し続けた結果の典型的な薬物乱用頭痛である。痛みが出れば薬に頼りその場をやり過ごして、薬を止めたいと思う事さえも諦めていた状態は非常に危険である。特に生理前から生理中は左目の奥の頭痛・子宮の痛みに敏感で、痛みの兆しがあるとすぐに薬を服用する習慣を持っていた。
この症状は、手術後に起きていた事から子宮環境が関係している頭痛だと推測し、実際子宮・胃腸にアプローチしたところ生理中に起こる各症状がすみやかに緩和された。全てを一人で抱え込まず、引き続き定期的なケアをおこなって頂きたいと願う。

症例1:生理前の肩こり・頭痛

DATA

患者: 女性 40代 伊丹市
来院: 2015年8月
鍼灸の経験: あり

症状の特徴と経過

生理前から生理中にかけて、毎月締めつけられる様な肩こりと頭痛が起こり困っていた。サプリメントも服用し、健康には気を使っているが今のところ改善はみられない。血圧も低く不整脈もある為、ホルモンバランスの調整・体温調整の安定を目的にスポーツジムの紹介で来院。

治療の内容と経過

数点の既往歴が要因と、慢性化された気血の滞りが身体の勢い(陽)を抑え込んでいる状態と観察した。
首元・臍の周囲・胃腸・膝周囲に冷えが強く、生理前・中に肩こり・頭痛が起こる事からも胃腸・子宮環境の影響が大きいと考えた。

【1~4鍼目】生理周期のお身体の状態を把握させて頂く為、週1回のペースで、胃腸を温める・子宮環境の循環を高める・上半身の熱を下に降ろす目的で、手足・腰のツボを中心に鍼灸+手技にて施術。4回目の生理前・中には頭痛・肩こりは気にならず、痛みもなし。

【4~8鍼目】通院ペースを月2 回に広げ、8回目には不整脈改善。

【10鍼目~】10回目の生理2日前に頭痛が半日出て来院された際は再度不整脈がみられたが、以降約1年が過ぎた現在に至るまで不整脈なし。現在もお身体のメンテナンスの為、月2回来院頂き肩こりの波はあるが起こった場合も一時的な状態に落ち着いている。

同時に治療した症状 腰痛、不整脈
使用した主なツボ 内関 R、公孫 L、太衝 R、三陰交 R、後谿 R、脾兪 LR

考察

手術跡・歴というのは必ず何かしらの影響を身体に与えてしまう事が分かる。だが、身体の中では常に助け合いの精神で、周りが一生懸命カバーしてくれる働きがある。この助け合いのバランスの崩れが、身体の不調を訴える要因となる。この崩れを施術により調整する事で、再度流れの調和が取り戻された。
変えられない要因を後悔するのでは無く現在どうすべきかを考え、最善の策を提案できる場所でありたい。