症例の紹介

頭痛

症例3:斜視手術後、目の奥が痛む

DATA

患者: 女性 50代 伊丹市
来院: 2016年6月
鍼灸の経験: なし

症状の特徴と経過

現在抗甲状腺薬のメルカゾールと去年11月に患った逆流性食道炎が再度発症しないように胃薬を服用。
今年斜視の手術をしてから首・肩が左に動かせない、左手のこわばり・痺れ、頭痛、めまい、不眠、耳鳴りが慢性化し、目の奥の痛みが特に辛い。
マッサージや接骨院で治療を受けるが辛い症状の改善には至らず、治療法を探していたところ、息子さんのご紹介を受け連絡を頂く。
外に出るとめまいがひどくなり車の運転も出来ないので、夜最後の時間枠に週1回のペースで訪問治療を始める。

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治療の内容と経過

上半身に偏った様々な症状が混在しているが、中心は心臓の血流障害と考えた。
肩・首の動きを良くして上半身の気血の循環改善を目指すために動作確認をすると、両側屈・左回旋・後屈の動きで左肩・首に引きつる痛み。

【1診目】背中のツボ3ヶ所と、首の骨の動きを良くする手首のツボに鍼をおこなう。その後、上半身の連動性を高める活法手技を3手追加。
施術後、右側屈時の左肩の引きつる痛みは残るが、他の動作痛は消失。目の奥の痛みも緩和。1週間後、経過を尋ねるといつもより熟睡感がある日々が過ごせ、症状は肩首痛以外は軽減。

【2診目】同様の施術をおこなうも3日後、嘔吐感が出現。
一度、頭痛外来がある病院に行って頂くようお願いし、事前に先生に症状説明のご連絡をしておく。
処方されたお薬は、めまいを改善するセファドール片頭痛予防のデパケン。目が原因だろうと診断される。
薬を服用して肩・首の痛みは緩和されたが、日中の極度の眠気とだるさ・上下に揺れるめまいが起こり2週間後、セファドールの服用は中止。

【3~7診目】1ヵ月半後の5回目まで同様の施術により、耳鳴りが取れ、睡眠の質も上がり首の可動域もほぼ左右均等に動かせる。2ヶ月後の7回目、薬の服用は終了し、外出も積極的に出来るようになる。
最初に訴えていた症状もある程度緩和されたので、目の奥の痛みは残るが経過観察してみようという考えが一致し、一度ご卒業頂く。

同時に治療した症状 首・肩こり、めまい、不眠、耳鳴り
使用した主なツボ T4(1)L、列缺L、内関R、膻中、三陰交R、懸鐘L、陰谷LR、項強L、大骨空LR

考察

様々な症状が緩和され目の奥の痛みは残ったが、日常生活は問題なくおこなえるので一度経過観察してもらい、ご卒業頂いた。踏み込んだ施術が出来る手段が見えてきたので、もう一段階改善出来るよう煮詰めていきたい。

症例2:バンド型の締め付けられる頭痛

DATA

患者: 女性 30 代 宝塚市
来院: 2016年6月
鍼灸の経験: あり

症状の特徴と経過

3月後半にこじらす風邪を続けて2回、5月下旬には自身でおこなう事業に加え空き時間に掛け持ちで新たな仕事を始めたため、疲労困憊。
現在、身体が温まらない・集中力が低下し常に眠い・後頭部からコメカミにかけてのバンド型の締めつけられる頭痛が続き、以前から疲労がピークに達した際に来院される当院へ。
漢方を服用中(補気升陽散:身体の弱りを温めながら補うお薬)

治療の内容と経過

掛け持ちの仕事の姿勢が特徴的で常に左手に電話、右手にペンを持った状態の為、背骨と股関節の柔軟性の低下が疑われる。また、空調が直接当たる位置での座り仕事から以前からのお身体が冷え弱りやすい体質に拍車を掛け、温まらない・常に眠い各症状が起こると考察。

冷えに対しては胃腸と腎臓を温める温灸をお腹・膝・足首にする事で、舌の赤みの回復・引き締まる、沈んでいた脈が浮いてくるのを確認。
柔軟性の低下に関しては、背骨と大腿骨(太ももの骨)を繋ぐ大腰筋と肩甲骨に着目し、手に1本、胸・腰の背骨に 2本ずつ鍼をおこなう事で首の左右前後の動きが改善され、同時に頭痛消失。

【2診目】1ヶ月半後、再度首の痛み・お腹の冷えと食欲の低下がみられたが動きの改善を主とする事でその晩、食欲が湧きご飯を美味しく食べられたとのご報告。

同時に治療した症状 首痛、腰痛
使用した主なツボ 列缺 L、T4(1)L、T12 L、L2 R、中脘

考察

身体の流れだけを意識していた時は、弱りを補う事で冷えや食欲の低下を改善しようと考えていた。
身体の連動性を意識し始めてからは、動きを整える事で流れも一緒に調整出来る事が分かり積極的な施術は患者さんの治癒力をより一層高める事が可能である。

症例1:転倒による全身打撲後の頭痛

DATA

患者: 女性 50 代 伊丹市
来院: 2015年11月
鍼灸の経験 なし

症状の特徴と経過

深夜、お手洗いに行かれる際、階段を踏み外し転倒。全身を打撲し目も強打する。その後、朝から後頭部・左の側頭部にズキズキとした痛みが出現したため、脳神経外科を受診。
CTに異常はなく、痛み止めの薬を処方され安静指導。
2週間後にお孫さんのお宮参りの写真撮影があり全身打撲によるアザを出来る限り目立たない様にして欲しいと、違う症状で来院されていた経緯がある当院へご相談頂く。

治療の内容と経過

【1鍼目】受傷2日目で原因もはっきりしていたので、鍼灸よりも応急処置を優先した。
アイスマッサージを全身打撲した場所全てにおこない、 頚部のストレッチ・テーピングによる膝の圧迫処置をおこなった。

【2~4鍼目】そこから3日続けて来院頂き炎症も順調に引いていった為、 首・太もも・腕のマッサージを治療3回目から開始。

【~6鍼目】1週間後には、かばいながらの仕事により腰とお尻に痛みが出たがマッサージ・ストレッチの処置により改善。
頭痛に波はあったが、時間帯も朝方のみに限定され膝・腕の痛みはほぼ無くなった。 圧迫・アイシング・マッサージを早めにおこなえた事で、アザはどんどん消えていった。左上に少し打撲痕が残ったが化粧で隠せる程度まで落ち着き、無事お宮参りの時はお孫さんを抱っこされ写真を撮れたとのご報告。

同時に治療した症状 なし
使用した主なツボ なし

考察

捻挫や打撲等の急性症状は、治療しようがしまいが極論治る期間に変わりはない。だが、早めの適切な処置をする事で予後のアザ・痛み・動きの程度が全く変わってくるのは知っておいて欲しい事実で、捻挫癖などはまさしく典型例である。
こういった転倒事故は、まず脳や骨に異常が無いか検査を受けて頂くのはもちろんだが、その後すぐに来院頂いた事によりアイシング・圧迫による救急処置から、アザが残らない様にする為のマッサージを的確におこなえたことでご依頼を達成出来たと考える。急性患者さんが沢山来院される鍼灸接骨院で勤務していた経験を鍼灸院に活かせた症例である。