症例の紹介

上肢痛(肘痛・腱鞘炎・バネ指)

症例4:肘、腱鞘炎の痛み

DATA

患者: 女性 55歳 川西市
来院: 2015年10月
鍼灸の経験: あり

症状の特徴と経過

医療事務のお仕事で業務先の各院へは電車や徒歩で車は使わない為、足がとても疲れる。医療機関ではパソコンインストラクターとしてパソコンを常に使うので、肩から手首にかけて年中痛みがある。
特に右半身の膝・肘関節・腱鞘炎の痛みが強い。又、ピアノ講師としての一面もあり肘痛と腱鞘炎の影響でひくのが辛い状況。フィットネスクラブで当院が開催するイベントにてご相談頂いたご縁で来院。

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治療の内容と経過

問診でお話を聞いていると関節痛以外にも気管支炎・花粉症などのアレルギーやめまい、視力の大きな偏りによる目の疲れなど様々な症状が存在。関節痛は慢性化した状態で原因のお仕事を辞めるわけにもいかず、通院は多忙により月2回ペースの為、ゆっくり気長に良い方向を目指しましょうと伝える。

痛みの改善には身体を巡る気血の流れの改善と熱の消火活動が必要と考え、清熱・疏肝理気と陰(潤い)を補う治療を中心に「関節を酷使しても炎症が起こりにくい状態」を目指した。睡眠時間の不規則も炎症がおさまらない原因の一つである事を伝え、睡眠時間の確保をお願いした。

【~17診目】半年間の治療で歩行時やしゃがみ込むときに年中痛かった右膝の痛みが消失。そうすると今度はかばっていた左膝関節に痛みが気になる。肘痛・腱鞘炎も治療後2週間弱は軽減するようになり、ちょうど来院される2週間ペースで痛みが出始めるまで落ち着き、仕事やピアノ・フィットネスクラブでのトレーニングもしっかりおこなえるようになった。

「肘痛・腱鞘炎」には首、肩甲骨外側・背中のツボで肩関節と肩甲骨可動性を高め、これが結果的に気管支炎や目の疲れの治療にも繋がっている。「膝痛」には腰やお尻のツボを使って膝の屈伸をしやすくする事で痛みも消失。毎回の鍼数の目安は6本以内。来院してから1年4ヶ月になるが現在も多忙の中でより良い毎日を送るためのメンテナンス治療を続けている。

同時に治療した症状 喘息、めまい、目の疲れ、腰痛
使用した主なツボ C5(1)R、ふくらR、膝根L、T12(1.5)L、眼裏(内)L、四神総穴、かすみ、肘の空気抜き

考察

関節痛の治療で重要な事は、軸・起点の調整による連動性の回復である。土台を整える事で末端の関節に安心感が生まれ、結果として余計な力が抜けて関節が動かしやすくなる。その軸・起点の調整を首や肩甲骨・腰やお尻のツボに求める事で、再現性のある効果を出せていると捉えている。
「実際、ずっと通っているのだから治っていないじゃないか」という意見も承知しているが、治っていないのではなく「治ったがまた使い過ぎで新たに痛めてしまった」というのが本質である。新たに痛めない為には、日常生活の在り方が最も大切であり、在り方を見直すためにヨガやピラティスなどで自分の身体に問いかけるも良し、当院のような鍼灸院にメンテナンスとして通うのも良いはずである。特に原因が仕事である場合には新たに痛めてしまう事も、「許容範囲内であれば仕方がない・また治せばいい」と考えたほうが、気持ちも軽くなり慢性痛という一種のトラウマの様なレッテルに苦しめられることもなくなるはずである。

患者様の声

症例3:肘が曲がらない

DATA

患者: 男性 30代 大阪府吹田市
来院: 2016年4月
鍼灸の経験 あり

症状の特徴と経過

来院前日にお子さんを抱き上げた際、左肘関節の内側にズキっと痛みを感じる。 その後、違和感が続くも寝れば治ると思い処置なしで今日を迎えたが痛みはひどくなり、加えて肘の曲げ伸ばし(特に曲げる事)が出来なくなった。
専門学校時代からの友人で患者さんを診る手を使う仕事。理をして数人診ていたが肘の激痛と動かない状態でマッサージが出来なくなり急遽、その後の患者さんにお断りの連絡を入れて当院へ来院。明日からの仕事はもちろん、1週間後のゴルフにも間に合わせたいとの要望。

治療の内容と経過

発生要因はハッキリしているので、治りやすい環境作りとして巡りの悪い水の循環を高める足のツボに鍼をおこない、その後肘関節に関係する腕橈骨筋・上腕二頭筋をターゲットに、 肘関節の回内・回外が軽快に動かせるようになる事を目的とした肘関節と手関節の連動性を高める鍼を患部周辺に6ヶ所、加えて手技をおこなった。
施術後、肘が曲がるようになり、痛みも 10→3 に落ち着き翌日メールにて、1 まで緩和され仕事も復帰できたと報告を受ける。
念のため5日後にもう一度来院頂いた際は、ほぼ痛みもない状態だったので再発しない様、同様の施術。
翌日、スコアは臥せるが思い切りゴルフを楽しめた様で何よりである。

同時に治療した症状 なし
使用した主なツボ 郄門 L、手三里 L、間使 L、臨泣 LR、太谿 L

考察

特にこの様な急性の関節の硬縮・痛みには、「痛み」に対してでは無く「動き」に対してアプローチする事が大切である。動かしやすくする事で痛みは自然と緩和していく。人間の身体の動きは壊す時は一気にできるが、活かす・正す事は順々に除々に変わっていくので、痛みを一時的に止めても身体にとっては警報器を故障させた結果に過ぎない事が多い。

患者様の声

吹田市
男性 30代

専門学校時代の同期の鍼灸院。
先日、肘を痛めたので治療に伺いました。
仕事はもちろん、1 週間後のゴルフが出来るようにお願いしたら 2 日で治りまし た。
いや~ありがとう。助かりました。
とても落ち着く雰囲気の良い院内で、趣味趣向が非常に感じられる鍼灸院です。
【Facebookレビューより】

症例2:手を着くと右手関節(TFCC)が痛い

DATA

患者: 男性 20代 大阪府堺市
来院: 2016年10月
鍼灸の経験: なし

症状の特徴と経過

理学療法師という類似した職種で、7年前から病院勤めで身体を酷使する為、常に腰は痛い。
今回の主訴は同様に7年前、まだ身体の使い方に慣れていない状態で患者さんを持ち上げてから、右手関節の痛みが慢性化し治らず最近特に気になる。痛みの部位はTFCCと呼ばれる手関節外側(小指側)の軟骨部位。
手関節を橈屈(親指側に曲げる)、背屈(手首を反らす)、回した際に痛みが増強する。

治療の内容と経過

7年前から続く痛みの原因が手関節自体にあるとは考えられず、腰の痛みと手関節の関連を触診で確認した所、右足甲のツボの硬さが原因点と考えた。
そのツボを押さえた状態で手関節を動かしてもらうと痛みは大幅に軽減。腰の痛みも左に側屈した際、右の腰に痛みがある事から一致。そのまま右足の甲に鍼をして10分置鍼した状態で手関節の運動・誘導手技を用いる。
その間も痛みは緩和されていき、鍼を抜いた後確認するが手関節の痛みは完全消失。

腰の痛みも軽減されており、今度は腰の痛みの部位に関連する手の甲のツボに鍼をおこなった状態で、腰に対する活法手技を用いる。抜鍼後、腰を左に傾けてもらうが右腰の痛み消失。今回は2本で治療を終えて様子を診て頂く。

1週間後、メールにて腰の痛みは再度感じてきたが右手関節の痛みは無いまま快適に仕事に取り組めているとのご報告をいただく。帰省した際の来院だった為、継続しての治療は難しいが今度の連休に再度来院予定。

同時に治療した症状 腰痛、頻尿、右足がむくみやすい
使用した主なツボ 束骨R、腰腿点R(1)

考察

触診の際、類似した症状で効果のあった足首のツボに触れてみるが、変化はみられなかった。
その例と今回の患者さんの違いは、同じ身体を酷使する仕事ではあるが痛む部位の違いと慢性腰痛があるかないかである。今回用いたツボは腰椎4番と連動したツボで、慢性腰痛にも著効が認められている。
複数の症状があっても必ず重なる原因点があり、その場所をいかに手数を少なくして見つける事が出来るかが永遠の課題である。

症例1:手を握ると左手掌(小指側)が痛い

DATA

患者: 男性 20代 伊丹市
来院: 2016年5月
鍼灸の経験 あり

症状の特徴と経過

元々開院当初から運送の肉体労働で疲労した身体のメンテナンスに来院頂いていたが、今回は荷物を持つ為に手を握る動作で、左小指球(手のひら小指側)に刺さる痛みがあり荷物の持ち運びにに不安があるという依頼であった。
日常生活で手を使う分には何ら問題ないが、全力で手を握る・左親指を反らした際に痛みが増強する。
特に外傷を受けた経過もなく、整形外科でレントゲンを撮るも異常なし。

 

治療の内容と経過

原因を探してもいつもの様にお仕事をされている以外に思い当たらないという事なので、手の酷使によるものと考え肩甲骨~手関節の連動性の回復と筋肉の緊張緩和を目的とした治療をおこなった。

【~4鍼目】治療後の痛みは緩和されるが仕事で手を酷使したら痛みが戻る状態が10日に1度ペースの治療で1ヵ月半続く。

【5鍼目】手の小指側と関連する可能性がある足のツボに触れた所、強い圧痛を感じる。そこはちょうど1年半前の冬にスノーボードで転倒し、左腓骨(スネの外側の骨)を骨折した場所だった。そこに鍼をして左手を動かしてもらうと痛みが消失。それから1ヶ月後の来院時、小指の状態を確認した所、前回治療から嘘のように一度も痛みがないとの嬉しいご報告。引き続き酷使されるお身体のメンテナンスをおこなっている。

同時に治療した症状 腰痛、足の倦怠感
使用した主なツボ 申脈L、膏肓L、尺前L

考察

局所だけを診ているつもりはなく肩~手首の連動性を取り戻し、背中の緊張を解ければ改善していくと考えていた症状が、少し視野を広げた結果足のツボ1本で改善された。
骨折のリハビリをさせて頂いていたにも関わらず、この反応に気がつくまでに5回の治療を要した結果は改善すべき点であり、勉強をさせて頂いた症例である。

患者様の声

伊丹市
男性 20代

初めて治療を受けたのは、友人の紹介でした。
仕事柄、肉体労働で疲れや体の痛みがあり腰を痛めたときに鍼灸を受けました。
鍼を打つのは痛いイメージがあったので少し怖かったけど、
イメージしていたよりも痛さはなく耐えがたいほどではありませんでした。
治療を受けた後から症状は良くなり、
治療の回数を重ねるうちに痛みは無くなりました。
腰の治療だけでなく体調不良や他の事も様々な治療をしてもらっています。
マッサージや体のケアは大事にしていこうと思わせてくれた治療でした。