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国家資格を取得する事で表現の自由が奪われる矛盾

2016-02-09

今日は投稿後、初の小言です。 少し長くなりますが暫しお付き合いください。

 

まだまだ未熟な立場の私がこのテーマを書くのはおこがましい気もするのですが、「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」という3つの国家資格を取得した「誇り」から「慰安マッサージ・整体・リラクゼーション」といった1兆円に迫る市場規模と同等・それ以下の扱いを受けているこの鍼灸・あん摩マッサージ指圧業界に対する矛盾を当院のHPを見てくださった方には、知って頂きたくブログに書き留めました。
このブログがどこで治療を受けるべきか悩まれている方の一つの「基準」になれば幸いです。

 

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・いわゆる健康(ウェルネス)産業の大きなくくり(1兆円規模)

《国家資格》:効果効能表示×
・はり師
・きゅう師
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師(接骨院・整骨院)


《民間資格》:効果効能表示○
・整体
・カイロプラクティック
・リラクゼーション(もみほぐし・足つぼ等)

 

例えば・・
医薬品は世に出るまで10~18年(約4~5年の承認期間含む)という長い歳月を経て販売されるため、

 

効果効能が表示できる。

 

販売にも第一類医薬品(健康被害が生じる恐れのある、特に注意が必要なものや、新規の医薬品)は「薬剤師」、第2~3類医薬品も「医薬品登録販売者」(ちなみにこちらも当院は取得済み)という資格が必要である。

 

逆にサプリメントは栄養補助食品という形で食品として扱われるため、食品としての基準を満たして承認申請を出し、承認されるとすぐにでも商品として販売できる。

 

その代わり、効果効能は表示できない。

 

「~に効果がある」という広告は出してはいけないため、曖昧な表現がなされている。
(保険に守られていない予防医学最先端のアメリカでは、科学的根拠が立証されたサプリメントは医薬品同等の価値があり、効果効能表示ができる。
※日本でも予防医学を推進する立場からこの取り組みが進められている)

 

さて、本題ですがこの1兆円規模の健康産業ではこの効果効能表示に対して全く逆の法律が制定されています。
基礎の生理・解剖学、鍼灸・あん摩マッサージ指圧の実技、その他もろもろの勉強の為に3年間高い学費を払って通い、国家資格試験に無事合格して在学中から様々な職場で経験を積み、自分の治療院をいざ開いたときに国家資格を持った施術所は院の看板に

 

効果効能をうたえません。

 

・これに効きますよ
・適応症である
・どのような施術をする
・料金
これらの内容が一切書けない法律なのです。(HP・院に置くチラシは可)
※ちなみに「マッサージ」という言葉は本来、「あん摩マッサージ指圧師」の資格が無いと看板・広告には記載できない。

 

逆に民間資格は極論を言えば、
あなたが明日「整体院」を開きますと言えば開院出来ます。
様々な資格がありますが全て民間資格です。
受講すればもらえる資格はいくらでもありますよね。
こういった今ブームと言われるほど施術を受ける人が増えている分野の施術所は

 

効果効能がうたえます

 

というより、一切、取り締まりがありません。

 

それは何故か?
民間資格の分野はそもそも治療ではなく慰安のために存在すると国が考えていたからです。

 

よって今この健康産業では
薬=民間資格
サプリメント=国家資格
という矛盾した効果効能表示の扱いが横行しているのです。

 

もちろん国家資格を持っていようがいまいが、患者さんを治すことにかける想いや情熱に変わりが無い事は重々承知です。
実際、違う分野でご活躍され尊敬する施術家の方は沢山おられ、人さまの身体を預かる職種として真摯に向き合い互いに高めあっていきたい想いです。

 

一つ施術を受けられる方々に知ってもらいたいのは、鍼灸院・あん摩マッサージ指圧院も効果効能や施術料金を明確に表示して入りやすい雰囲気を作りたいと考えている。

 

それが出来ない法律が今のところ制定されているためにやむ負えず、看板や窓ガラスに効果効能・料金表示が記載できない。
という事実を理解して頂きたいです。

 

そして効果効能表示や料金表示が無い治療院は怪しい。
という勘違いさせられた概念を取っ払って(今はHPでどんな治療院か簡単に検索できます)、あなたにとってより良い施術所を選択して頂きたいです。

 

今ブームとも言える産後骨盤矯正。
骨盤を整えて締めることは必要ですが、骨盤の関節と呼べるのは「仙腸関節」だけ。
この「仙腸関節」も動く範囲は約2mm。
はっきり言って骨盤が歪むということはありません。
治療すべきは骨盤に関係する筋肉です。
この筋肉を緩めて締めて骨盤が戻っても果たしてそれだけで良いのでしょうか。

 

お子様を産むという事は多大な気・血液・津液(身体の中の水分・潤い《軟骨》)が消耗され、産んだ後も長期に渡って消耗され続けます。
子育てによる食欲の低下・睡眠の不足・ストレスなど、様々な要因も身体を弱くさせます。

 

そういったことも全て踏まえ四診(診る・聴く・問う・触れる)を毎回行い、舌・脈・お腹・身体の皮膚の状態など全て踏まえた上で身体全体を調えることが、産後の治療には必要ではないでしょうか。

 

外からも内からも治療が出来るのが鍼灸も含んだ総合治療の強みです。
もちろん、外からは骨盤・筋肉の調整も致します。
全て合わせて一度の治療です。
身体を細分化するのでは無く、「木を見て森も見る」治療を当院では責任もっておこないます。

 

「これだけ長々と書いて、どんな治療をしてくれるのか?」
日本で鍼灸治療を受けた事がある割合は、わずか1桁台です。
国家資格を持つ治療院は「医業の一部とみなされる」と明示されているにも関わらず、いまだ広義の医業類似行為として位置付けられ、無資格者との違いが分かりにくく本当に嘆かわしい気持ちです。

何事もそうですが、その人の価値は求められている人の数。

 

一度、来院下されば「違い」に気付いて頂けるはずです。
一人でも多くの方に鍼灸治療を受けて頂き、一人でも多くの患者さまの助けになる「医業」を目指したいと私は考えます。