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活法から生まれる鍼の世界①整動鍼(せいどうしん)の衝撃
整動鍼(せいどうしん)に触れる
2月12-13日に整動鍼、18-19日に碓井流活法セミナーと今月は立て続けに東京へ飛び立っておりました。
体験会含め、今回が4回目の整動鍼セミナー。
3部構成の最後に書く予定の碓井流活法セミナーにて、碓井先生の立ち振る舞い・流れる手技の数々を実際の目で触れた事でようやく脳と身体が、スタート地点に立てた気がします。臨床ではすでに、再現性のある効果が次々と当院でも実証されていますので、ここで昨年6月に初めて触れた整動鍼・活法について一度整理してみます。
患者さんにとっては治れば何でも良いという話ですが、興味のある方は自己紹介パート2という気軽な気持ちでご覧頂ければ幸いです。
整動鍼とは何か?という内容は、創始者である栗原誠先生のブログにお任せして、何を得る事ができ、どう患者さんに活かす事が出来ているかを挙げていきます。
整動鍼を学ぶことで何を得たか?
①動きの視点を得た事で、ミクロの刺激で瞬間的な動き・痛みの改善が可能になった
②動きを整える事で流れも整う事が理解できた(主に今までは流れを変化させる事に重きを置いていました)
③触診とはコミュニケーションである
④施術前後の変化を明確に共有しあえるようになった
⑤内臓・筋肉・流れ・動きを整える鍼灸の究極の目的は、呼吸を深くする事である
この5つの新たな発見を実際に体感する事が出来ました。
これらの新たな発見は患者さんにとってどんな利点があるのか考えてみました。
患者さんにとって整動鍼はどんなメリットがあるのか?
①
身体の歪みや捻れは筋肉の張力バランスが偏った状態と考えます。
痛みの出ている場所(発痛点)は、「引かれる側」で、裏に潜む原因点が「引く側」になります。無理に片側に引っ張ると引かれた側は、引かれまいと余計な力をギュッと入れるため、その場所は痛みを感じ、引いた側は重たさを感じます。綱引きやシーソーを思い描いてみてください。
引かれる側に施術をしても引く側は改善されていないので、また何度でも無理に引っ張られ、痛みが消える事はありません。
さらに、痛いところに鍼をした場合、引かれる側は固定された事で、一時は痛みを感じなくなるが引っ張る力が消えてはいないので、もう一度踏ん張り直すには前回よりも力が必要です。2人でやる仕事を1人でやるのは負担が大きいです。一時休ませてあげたとしても再び同じ仕事を1人でやる事は前回よりも辛く感じるのは当然です。
この繰り返しにより、発痛点(引かれる側)はどんどん踏ん張りが効かなくなり、もうダメだと根をあげた時に身体の運動システムが作動しなくなり慢性症状となります。
これらを踏まえた上で基本的に整動鍼では、痛みの部位に直接鍼をする事はありません。発痛点に隠れた原因点を探し出し、そこに必要最小限の刺激を加える事で原因点は解消できます。
引く力が解消されると、引かれる側も無理な力を入れる必要がなくなるので共に解放されその結果、動きが変化し痛みも消えていきます。この身体の作用は一瞬で起こります。
2人でやる仕事は2人でやるのが一番の解決法です。
身体に与える負担も必要最低限で、局所に刺激をする事がないので筋肉が緩みすぎる・痛みが悪化する事を未然に防げます。施術が終わった後の鍼当たりや揉み返し、けだるさも限りなくゼロに近付ける手法です。
②
内臓と筋肉、流れと動きは相互に影響しています。
デスクワークで長時間冷房に当たり、手足が冷える事で胃がもたれる事はありませんか?逆に、気持ちの良い山登りをして足を使った後は胃が軽くなる事はないでしょうか。
「整動」の分野に視野を広げる事は、内臓調整を筋肉の動きの視点からも調整することが可能になります。歩きやすくなった結果、胃の負担も減った。首の緊張がとれた結果めまい・不眠症が解消したという変化は患者さんも感覚的に理解しすく、効果を体感してもらいやすくなりました。
③
患者さんに触れる触診とは、施術者が患者さんの「皮膚を診て内臓や筋肉がどのように活動し、不具合が起こっているのかを知るもの」だと考えていました。
これに「患者さんに施術者を伝える」という観点が加わる事で、触診で患者さんとのコミュニケーションを取る姿勢を意識するようになりました。
整動鍼を学んでからはこちらが受け取った情報を、触れる事で患者さんに伝える事を大切にしております。患者さんに「治療方針を問診だけでなく感覚的にも理解してもらえる術が触診である」と今は言えます。
④
今までは身体の中の経絡や流れを重視していた為、舌や脈・お腹の変化を施術前後で確認し、こちらの意図したとおりに変化した事・施術後ベッドから起き上がってもらい主訴の改善がみられた事でその日の施術は終了としておりました。
舌や脈を診ることが、客観的視点である事は疑わずやってきましたがやはり患者さんと変化を共有する事はお腹の変化に比べて難しいと考えていました。
しかし、動きの視点が加わった事で「〇〇が痛いのは〇〇の動きが悪いからです。」と直接動かしてもらい、皮膚に触れて原因部分の共有が出来るようになりました。その後、鍼を打ち再び同じ動きをしてもらい、変化があると私だけではなく患者さん自身も必ず良くなったことが認識できるようになります。
結果、脳の上書きがタイムラグなしに出来るようになりました。
人間はこの意識を身体に向ける・逆に意識を痛いところからそらすという事が難しい生き物です。変化がリアルタイムに共有出来、良い状態を認識できる事は治療効果を何倍にも高めてくれる事が臨床で日々体感しております。
⑤
一番の収穫は、呼吸を深くすることが鍼の究極の目的である事を脳だけでなく身体で体感できたことです。
整動鍼は活法の理論と実践から導かれた鍼法です。活法は手技の後に必ず一呼吸を入れてもらいますが、これは良い状態を安定させる・落ち着かせる意味があると言われます。
鍼も、患者さんの呼吸に合わせて鍼を入れたり・留めたり・抜いたりする事がありますが、鍼の強度を調整するために用いる事が主と捉えていました。その考えが浅い事に気付けた事が何よりの収穫です。
呼吸を意識して観察すると、鍼灸院に来られる患者さんは皆呼吸が浅い事に気付きます。呼吸を深くできる身体に調整する事で、主訴が自然と消える現象も度々目撃しております。患者さんが何気なく気にしている呼吸について、お互いが深く考え直せる場を提供する事は患者さんのこれからの人生にとっても良いきっかけになると感じております。
キーワードは体感と認識
長々と書いてしまいましたが当院の施術に整動鍼が加わった事で5点、患者さんにとってのメリットがあります。
鍼の効果を「何となく」で終わらせない。何をされたかをしっかり認識して帰って頂く事を大切にして施術に臨んでおります。
- ・身体への負担が最小限である
- ・すぐに効く
- ・ハッキリ効く
- ・動きを変える
- ・原因と変化を共有できる
今回は「整動鍼」について書くだけでお腹一杯になってしまいました。
次回は、実際にセミナーで学んだ脊柱編と四肢編についての衝撃をお伝えします。