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鍼灸師・鍼太郎妻の出産日記⑤

2017-12-08

タイトルがマイナーチェンジしましたが、シリーズは続編です。
予定日翌日に思いがけない破水からの緊急入院。
陣痛はまだきていませんが翌日の陣痛促進剤でついに産まれるんだろうな~と、淡い期待を抱きながら別々の寝床についた翌朝からの始まり始まり。

 

前回までのブログはこちらです。

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記①

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記②

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記③

 

鍼灸師・鍼太郎妻の妊娠日記④

 

聞こえない陣痛の足音

 

翌朝病院に持参したのは大量のCDと仕事・プライベートに大活躍のi-Pad。

 

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大量のCDは陣痛室や分娩中に好きな音楽を流していいと聞いたからです。
何せ昨日の入院から産婦人科病棟で出産待ちの患者は妻しかいないのです。
待機組は何人もおられるようですが、4人部屋も今なら完全個室扱い。これは非常にありがたいことです。

 

分娩室も分娩台が2つあるので、もし分娩室に入るタイミングが重なれば私は立ち会うことができません。
出産にはできれば立ち会いたいのでドキドキです。

 

陣痛促進剤は朝から点滴を入れっぱなしで45分おきに10%ずつ追加。
100%になるまでに陣痛がきて子宮孔が全開(10センチ)すればそのまま分娩室へ移動。
陣痛がこない場合は点滴を入れっぱなしで、明日再挑戦という流れでした。

 

促進剤の効力は聞いていましたので、二人で陣痛がくるのを待ちました。
午前中は音沙汰なし。
看護師さんも陣痛待ちの入院患者が妻だけのため、こまめに様子を見に来てくれます。

 

午後からも促進剤はどんどん追加されますが、陣痛は一向にきません。
昼のご飯もペロリと完食し、食後のコンビニで買ってきたデザートまで食べられる余裕っぷりです。
私もせっかくいるので活法手技と鍼をおこない、内ももや脚の付け根を動かしてもらいながら促進を働き掛けましたが30分弱の陣痛気配程度をピークに落ち着きました。

 

点滴を付けながら廊下を歩いたり、スクワットをしたり、星野源・三浦大知の音楽に合わせて踊ったり・・一応あがいてみます。
結局そのまま終了のゴングが鳴り、明日に持ち越しです。

 

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私はただ見守るしかできないので何てことありませんが、妻は痛みが来る不安とこない不安両方を体感した1日だったので、凄く疲れたことでしょう。良く頑張ってくれました。
ひとまず今日はゆっくり休んで明日に備えよう。と病院を後にしました。

 

翌日は午前午後共に予約がほぼ満杯でしたので、身動きが取れません。
明日の診療時間中に産まれれば、今回は立ち会えなかったというだけだと考えるようにしていました。
2日目の夜、出産待機患者さんがもう一人来られたそうです。
3日目からは分娩準備室に2人が待機することになりました。

 

3日目午前中も陣痛は来ず。
隣の妊婦さんは痛みだしているようです。
そうなると妻も焦りますが、午後もシーン・・。僅かな陣痛と子宮孔の開きは2~3センチのまま1日を終えました。
隣の妊婦さんは相当痛んでいるようですが、子宮孔の開きは痛みと比例せずひとまず分娩準備室で待機。またもや4人部屋は妻の個室と化しました。

 

3日目も陣痛がほぼこなかったのには不安も増していたようで、診療が終わった夜中に面会に行くと悲しい面影でした。ですが私の顔を見たことで少し元気を取り戻してくれたよう。少しの時間でも会いに行くことは必要です。

 

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4日目は土曜日。この土曜が最高のタイミングで月曜が祝日のため世の中は3連休。
両家の親族も日曜日には病院に来れるのでそのタイミングで出産できていたらいうことはありません。
さらに私の診療も半日なので午後からは駆け付けられます。

 

幸い妻はどれだけ不安でも夜眠れないことはありませんでした。
食欲も落ちず、睡眠もしっかり取れた4日目。促進剤も種類を変えて再チャレンジです。
これは期待できそう。
早朝に会いに行ったときに、診療が終わったらすぐ来ることを約束して病院を出ました。

 

ここで一つ皆さん疑問に思っているのではないでしょうか。
「破水してそれだけ日が経って、お腹の子は大丈夫なの?」

 

これが大丈夫だったんです。
もちろん破水することで体内の羊水は減るので、お腹の子の肺や腎臓の衰弱、運動空間の縮小、衝撃に対する脆弱化、細菌感染の可能性などが上がってしまうのですが、羊水は減り続けるわけではなく補充もされるのでお腹の子の胎動が元気な限り、経過観察を続けられます。
通常は破水後24時間以内に出産することが多いので、今回のケースがレアであることは確かです。
看護師さんや担当の先生は慌てる素振りや単なる励ましをせず、淡々と一緒に時がくるのを待ってくれていたのは大変心強かったです。

 

遂に扉は開かれた

 

朝の時間外スタートからノンストップで診療が終わったのが13時半。
LINEはチラチラ確認していましたが、仕事を気遣ってか通知はなかったのでメッセージを送るとこんな返信が!

 

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とうとう痛くなってきたようです。
痛みを待ち望む瞬間は、出産のときぐらいではないでしょうか。不思議な感じです。
お隣さんはついに子宮孔全開でいきみオッケーのサインが。ほぼ24時間陣痛に耐えていたのでもうひと踏ん張り。頑張ってもらいたいです。
長丁場になると踏みしっかり腹ごしらえを済まし向かったのが16時。遅いと突っ込まれますね。

 

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お腹を抱えながら痛みに耐える妻がそこにはいました。
陣痛感覚が短くなりいきみたい気持ちがどんどん出てきますが、子宮孔が全開しないといきめません。本人的には全開並みの痛みですが、子宮孔はまだ4センチ。

 

今日担当してくださるのはベテラン助産師さん。コウノドリでいう吉田羊演じる小松さんのような気持ちを汲み取りながら絶妙なエールを送ってくれます。
先生もいつも健診でお世話になっていた女医さんはお休みで、別の女医さんでした。
これまた星野源演じる四宮先生の女性版といった、安心感のある先生でした。
淡々としたなかに愛を感じる方が好きな私たち夫婦にとっては、絶妙な組み合わせです。(一番の理想はやはりサクラ先生ですが)

 

 

18時を過ぎ子宮孔を確認した時点では4センチでしたので明日に持ち越しかな~と言われた直後救いの破水が起こりました。
陣痛の間隔・程度もさらに強くなります。再度先生に確認してもらうと一気に8センチまで開いています。
陣痛を長丁場経験した当院患者さんに、5センチ開けば後は早かったと聞いていましたので今日産まれると確信しました。
そこからさらに1時間半が過ぎた19時半過ぎ。
とうとう子宮孔全開でいきみオッケーのサインが小松さん(以降助産師さんと先生はコウノドリver)から出ました。

 

最初の破水から4日、陣痛開始から約5時間半。
遂に子宮孔が全開すると共に分娩台への扉が開かれました。

 

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妻は学生時代部活動をしておらず、運動全般が苦手でマラソン大会は常に最後方だったようです。
体力持つのかな?

12/13(水)9時~公開予定の次回に続きます。

 

痛みが必要な理由

 

「痛み」は人間にとって必要不可欠な反応です。

身体にこれ以上負担を掛けると大変なことになるよと知らせてくれるアラートサインだからです。
お腹・頭・肩・首・腰・手足など全ての痛みには意味があります。

 

痛みを身体が発する一番の目的は、頭の思考を一度ストップさせたい思惑があるのではないでしょうか。

この極みが陣痛です。陣痛は病気や症状とは違います。
今から産まれますよというアラートサインとも取れますが、さらに出産という神秘的で頭では到底図れない複雑なメカニズムを身体に任せてフル稼働させるわけですから、そこに思考が入り込む余地はありません。

 

思考をストップさせる一番の方法が、痛みを発することなのです。

 

痛点の閾値が低すぎるのも問題ですが、高すぎて痛みを感じられないのも後々の大きな症状に繋がってしまいます。
痛みを感じたときは身体を休めるよりも頭を休める。

 

 

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だから痛みの経過によっては、敢えて思考が入りにくい身体を動かすことを推奨する場合があります。
ただ漠然と言っている人も多いですが。

 

身体を休めたつもりで寝ながらテレビを見ても痛みは取れません。
極論を言うとほとんどの痛みの症状は放っておけば勝手に治ります。
打撲や擦り傷が典型例ですよね。

 

放っておくことを意図的にできるよう普段からおこなうのが養生法で、放っておけない原因を見つけて癒すことが治療です。

 

痛みを取り除く・遮断する・一時的に止めるといった安直な考えは一度脇に置いて、痛みが出たときは一度自分の生活や身体を振り返り、身体の声を聴いてみてください。