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便秘症の要因と施術方針②
前回までの内容はこちら
今回からは「便秘症」が起こりうる要因の分類分けを致します。
①気と便通
胃腸を動かす仕組みが胃気(胃腸の気)で、胃気が上から下に向かって流れる事で正常な胃腸の機能が保たれることは前回ご紹介致しました。
飲食不節(不摂生な食事)による便秘はこうした胃腸の空実のリズムを乱す十分な理由になります。
食べ物の性質が悪い時・胃腸の働きが弱っている時等はムカムカして吐き気を感じますが、これは飲食物を身体に吸収したくないからです。
このときの胃気は「嘔吐」という形で下に送らず上に戻してしまおうと身体の防衛反応を働かせます。
胃気が滞ると腸の動きが止まり、便秘症になります。
大便の種類は硬いものから軟らかいもの、時には下痢様まで全てが便秘症として起こり得るのです。
❶身体全体の気が滞る状態:気虚・気滞型
・気の巡りが伸びやかでなくなる:抑圧感・怒り・ストレス
・気の巡りのレベルが落ちる:運動不足
・気の巡りの底力が低下する:寝不足・過労
❷胃気を直接滞らせる状態
→胃を冷やす
冷たい飲食物はもちろん、緑茶・コーヒー・牛乳(全て冷・温に関わらず)、夏野菜、生ものなどの身体を冷やす性質を持った飲食物が、一番最初に冷やすのはその受け皿である胃です。
冷たいものを食べると下痢になるイメージがあると思いますが、それは胃腸の動きが止まるよりも身体に悪さをする物を早く出口まで通過させようとするからで、お腹がゴロゴロ腸の動きはかえって活発になります。
一時的にはこうした反応で難を逃れますが便秘の為に朝冷たい水を飲む、牛乳を一気飲みするといった胃を冷やす状況が繰り返し慢性的に続くと、胃気が滞り胃腸の動きは停滞し大便は出にくくなりしつこい便秘となります。
この場合やっと出るときの大便は、下痢だったりします。
胃腸が動かないことが原因のため、通常の下剤では不快感が強く、通便もつきません。
便秘薬によく使われるドクダミやアロエ等も冷やす作用の強いものです。
胃気を巡らせるには、こうした解決策はどうしても困ったときだけに留めるべきです。
漢方では九味檳榔湯(くみびんろうとう)が適応となります。
《当院の施術方針》
最終的な目標は胃気の滞りを取ることです。
そのために、胃気を降ろす方向に施術を致します。
《生活指導》
慢性的な冷飲食を控え、内側から冷やす習慣を避ける事が大切です。
薄着で身体の外から冷やすことも身体全体の気の巡りを悪くさせ、最後は胃気の滞りに繋がりますのでお気を付け下さい。
冬の季節にお勧めは、首へのマフラー。
首まわりを温めると全身に通る血管が広がり、身体の隅々まで血液が行き渡ります。(逆の場合しかり)
又、首の後ろには、エネルギーを燃やして体熱を作る細胞、いわば身体のヒーターが存在します。
つまり首を温めて活性化することで、燃料が燃え体温も基礎代謝も上昇するので胃腸の冷えにも効果的に作用してくれるのです。
次回、便秘症の分類分けは「燥と便通」です。
《参考文献》
「漢方中医学講座」著 仙頭 正四朗先生
「「証」の診方・治し方」 東洋学術出版社
「Tarzan」