ブログ

便秘症の要因と施術方針③

2016-02-28

前回までの内容はこちら

 

便秘症の要因と施術方針①

 

便秘症の要因と施術方針②

 

②燥と便通:血虚・陽虚・湿濁・痰飲

※「津液」(身体の中の水分・潤い)
「燥」 (身体の全体・局所的な乾燥)
「胃は潤を好み、小腸は液を、大腸は津をつかさどる」
胃腸は「津液」の存在が重要です。
胃腸の機能が粘膜によって営まれている事を考えると良く理解できます。
「津液」を枯渇させる病態は全て、最終的には胃腸に「燥」を作り胃腸の降ろす機能に支障をきたします。

 

 

C7EBBBBC-F73F-4ADB-B8D5-CC96A5B405D8

 

津液が枯渇することで起きる影響は、水分が不足するという見かけ上の事だけでなく津液が持つ機能が欠落するという事を意味します。
津液に気も含まれますので、津液が枯渇する「燥」ではそこにおける気も共に失われています。
胃腸の持つ役割が通過にあるとすれば、その機能を支える特性は陽であり気であるべきです。

 

便秘の要因となる「燥」の意義は、津液が枯渇すると同時に気が喪失して胃から大腸に流れる胃気の降通が寸断される事にあります。
身体の中に水分が溢れている状態でもその水分が上手く代謝出来ていない状態であれば、全て気の降通を阻む要因として便秘に繋がります。

 

実際に大便の意味を考えれば、生体は大便を潤す必要はありません。
便秘という病態は、出すべき物、排泄すべき物を排泄できないのが本質であって、大便が硬い柔らかいは病態の修飾要件に過ぎません。
よって乾燥を便秘の病態の中心に置く必要はなく、乾燥により胃気が喪失してしまうことが問題です。

 

《当院の施術方針》
様々な要因で胃腸の津液が枯渇した状態を潤し、かつ機能としての胃気を動かす方向に施術を致します。

 

《生活指導》
「ヨーグルト・野菜を毎日せっせと食べているのに何故便秘が解消されないの?」
と焦っている立っているあなた。
腸内環境を整えるには5つの改善が必要で、どれが欠けてもダメです。
自身の生活をもう一度振り返り、共に改善すべき点を見つけていきましょう。

 

❶ビフィズス菌・乳酸菌
ヨーグルト・チーズ・納豆 他
→善玉菌を追加
口から入れたビフィズス菌が大腸に定着することはないので、毎日一定の量(200~300g/日)を食べ続けることが必要です。

 

 

52621247-51AA-4B5F-9994-5332F0B7E0E2

 

❷食物繊維 不溶性:水溶性=1:1 (350g/日)
不溶性:大豆・ゴボウ・エリンギ・おから・栗・穀類・サツマイモ 他
水溶性:海藻類・コンニャク・山芋・オクラ・アボガド 他
→便を作る

 

❸オリゴ糖
ゴボウ・玉ねぎ・蜂蜜・バナナ・納豆・大豆・味噌・アスパラガス・キャベツ・ニンニク・トウモロコシ・ジャガイモ・牛乳 他
→腸内細菌の餌

 

❹運動
❺リラックス
→排泄力を強め、腸内環境を整える!

 

まとめ
❶~❸全てお手軽に取れるメニューは味噌汁です。

 

 

日本の良き習慣をもう一度思い出し、朝の目覚めは味噌汁から始めましょう。
色々な具材を入れて楽しむ事も粋ですよ。

 

並行しての鍼灸治療でさらなる後押しができます。

 

次回は、男性に多い「下痢症」のメカニズムについてです。

 

《参考文献》
「漢方中医学講座」
「「証」の診方・治し方」 東洋学術出版社
「日経おとなのOFF」