ブログ
不眠症の要因と施術方針⑤
前回までの内容はこちら
④脾虚・痰飲(胃腸の力が弱く、お腹に水が溜まって陰が滞ってしまう状態)
《症状》
・食後、眠たくなるがいざ寝ようとしてもお腹が張って眠れない状態
(胃腸は「血液」を巡らすエンジンの様な所で、機能が落ちると血流が胃腸に停留してその重量感が邪魔になります)
・手足のむくみ・湿疹・鼻水・鼻詰まり等
・胃腸の諸症状、食欲・元気が無い
《当院の施術方針》
当院では胃腸の力を強めて、余分な陰(内湿)を代謝し、利湿(水を抜く)作用を高める方向に施術致します。
生活指導としては胃腸の負担を軽減させることが大切ですので、腹八分目の意識とビール好きな方にこの要因が
当てはまり、飲酒量を減らして頂く必要があります。
寝る前の牛乳もこの要因の不眠には身体を冷やして身体の水を増やすため、逆効果です。
適度な運動も利湿作用を高めるには必須です。
《適応食材》
ローズマリー、鶏肉、サンマ、カツオ、かぼちゃ、山芋、大豆(枝豆・納豆)、エンドウ豆、春菊、ラッキョウ、生姜、パセリ、ニンニク、さくらんぼ、ぶどう
沢山の適応食材がありますがベースは、消化に良い根菜類による利湿(りしつ)作用を利用します。
一先ず今回でこのシリーズ投稿は終了となります。
適応食材ですがここに挙げてきた食材ばかりを食べれば、すぐに不眠症が治るというわけではありません。
これらの食品を用いた食事を取り入れていくことで、それぞれの病態が体質的に改善され徐々に不眠症が楽になっていくという考えを表しています。
不眠症でお困りの方はもちろん、その他症状をお持ちの方でも、眠りが浅い・夢を良く見る・寝付きが悪いなどの症状が付随してましたら、その改善が症状の改善に繋がるかもしれません。
ある一つの体調不良をきっかけにして身体に潜む未病の目を摘み取ることが出来るのが、東洋医学的視点の利点です。
引き続き日々の診療の中で多く感じられる症状を取り上げていければと思っております。
《参考文献》
「関西系統中医学講座」
「いかに弁証論治するか」 東洋学術出版社
「臨床中医学各論」 緑書房