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頭痛の要因と施術方針⑤

2016-03-26

前回までの内容はこちら

 

頭痛の要因と施術方針①

 

頭痛の要因と施術方針②

 

頭痛の要因と施術方針③

 

頭痛の要因と施術方針④

 

④動きの異常【物理的障害】

 

流体を動かす誘導役(生体機能)に問題が無くても、その巡りを物理的に阻害する因子がある場合滞りを生じて痛みにつながります。
❶湿蘊(体内に病的な水の過剰が存在)→少し粘りはあるがまださらっとして薄い
❷痰飲(水が胃腸に停留した状態)→ねっとりとして濃い・濁っている状態
❸瘀血(滞り固まった病理産物としての血)
❹外邪の侵入(風寒湿熱)

 

⑤経絡の滞り

以前も一度「なぜ、お腹を診るの?」のブログで書き留めましたが、人間の身体には経絡(ツボの流れ)と呼ばれる人体中の気血水の通り道が正規のルートで14種類あり、経絡がスムーズに流れることで人間の身体は円滑にストレスなく動かせます。
逆に経絡のどこかが詰まる事で痛みや可動域の制限がかかります。

 

さらに経絡は季節と対応していて、春ならこの経絡が充実して、夏ならここ。
というように普段よりも活発になる経絡の流れが季節に応じて存在します。

 

頭痛を慢性的にお持ちの方でいつも痛む部位はどこでしょうか?
まだ10年足らずですが、沢山の患者さまのお身体を診させて頂いた立場から、私の感覚では一番頭痛を訴える部位で多いのは「こめかみ」だと考えております。

 

では春に対応する経絡の流れは?

 

春の経絡は2種類あります。
1つは足の親指内側から始まり、上半身の流れに注目すると、気管の後ろに沿って上行し、目と連絡して上がり、頭のてっぺんで他の経絡と交わる。

 

もう1つは、目の外方よりスタートして、
側頭部を繰り返して巡り、耳の後ろに至る。

 

この経絡の流れは「こめかみ」の位置と一致します。

これが流体量・動きの異常が頭のこめかみの頭痛として、春に起こりやすい理由です。

季節性とは別にこのルートはストレスや飲酒の影響を受けやすいため、頭痛が「こめかみ」に起きやすい原因が経絡の流れからも理解できます。

 

《当院の施術方針》
動きの異常に対しては、巡りを物理的に阻害する因子を取り除く。
外邪に対してはさらに根本の底上げをして身体の防御力を高める方向に施術致します。
経絡の滞りに対しては、「疏通」という形で滞りを取り除くために、ツボ・局所を直接、鍼灸・活法を駆使して処置致します。

 

《生活指導》
経絡の滞りに対しては普段の身体のメンテナンスやセルフケアが欠かせません。
入浴後のストレッチや目をよく使った後のケア等に気を付けてください。
ビタミン・ミネラル(特にビタミンA)の摂取も必要ですね。

 

今回の5回に渡った「頭痛」のテーマはいかがでしたか。
日本では、15歳以上の3人に1人は「頭痛持ち」で、3000万人以上が大小関わらず悩んでいるといわれています。
大まかに言われる頭痛の分類わけは、「緊張型」と「偏頭痛型」。
今回少し視点を変えて頭痛を考察してみると、先程までに挙げた様々な要因が複雑に重なり合って「頭痛」という1つの症状が発生しています。

 

1人で抱え込んだり「頭痛」はいつものことと考える前に、一度ご相談ください。
必ずあなたの助けになれるはずです。

 

《参考文献》
「漢方中医学講座」著 仙頭正四朗先生
「いかに弁証論治するか」東洋学術出版社
「証の診方・治し方」東洋学術出版社